【蔵出し】横浜高校「小倉ノート」特別版 成瀬に涌井に石川に荒波がいた20年前の夏

元横浜高校野球部長の小倉清一郎氏(79)が作り上げた「小倉ノート」。対戦相手のデータを詳細に分析し、横浜(神奈川)の強さを長く支えてきました。今でこそ「データ野球」は広く普及していますが、当時はまだ異例の取り組みでした。名門チームの一時代を築いた、秘密のノートにスポットを当てる連載。2003年夏の神奈川県大会を中心に、未公開だったノートを公開します。球児たちの夏、真っ最中。20年前にタイムスリップして、じっくりお楽しみください。

高校野球

◆小倉清一郎(おぐら・きよいちろう)1944年(昭19)6月16日生まれ。横浜市出身。横浜―東農大を経て三菱自動車などで活躍。引退後は東海大一(現東海大翔洋=静岡)の監督を4年間務め、77年に横浜コーチに就任。翌年に横浜商に移り、83年の春夏連続甲子園準優勝に貢献した。横浜部長には92年就任。10年からコーチを務め14年に勇退した。

魂のこもった手書きのメモを、一言一句ご堪能ください。スマートフォンでご覧の方は、ぜひノートの写真をタップ、拡大してみてください!

全7戦 「最強」と名高い2003夏 

小倉氏が作り上げた「小倉ノート」には、対戦相手のデータが事細かく記されている。

打者であれば、スイングのクセ、ストライクゾーンを9分割した得意・不得意の傾向、打球方向など。

2回戦:横浜10―0相武台

初戦の相手・相武台高の特徴を箇条書きでまとめた。「130~150番」とした県下のランク、主力のプレーを列挙している

初戦の相手・相武台高の特徴を箇条書きでまとめた。「130~150番」とした県下のランク、主力のプレーを列挙している

投手であれば、球種や球速はもちろん、配球パターンからけん制のクセまで分析している。

3回戦:横浜10―1港北

「県立としてはトップクラスのチーム」として警戒を強め、代名詞であるスタメンの打球方向とツボ、ウイークポイントも抑えた。「2球目にバント」「ストレートは2球どまり」と、具体的に要点を指摘している

「県立としてはトップクラスのチーム」として警戒を強め、代名詞であるスタメンの打球方向とツボ、ウイークポイントも抑えた。「2球目にバント」「ストレートは2球どまり」と、具体的に要点を指摘している

時に相手守備の特徴や監督の作戦面にも及んでおり、文字どおり〝丸裸〟にしている。

4回戦:横浜7―2光明相模原

ヤグラを勝ち上がっていく中で、避けて通れない変則投手。ボールの軌道を示して糸口とし、その比率から攻略法を探っていく

ヤグラを勝ち上がっていく中で、避けて通れない変則投手。ボールの軌道を示して糸口とし、その比率から攻略法を探っていく

成瀬善久、涌井秀章、石川雄洋、荒波翔…豪華なタレントをそろえた2003年の横浜は、順当に夏のトーナメントを勝ち上がっていきます。結末は…「小倉ノート」とともに、強豪との佳境をお楽しみください。

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