横浜の夜空に権藤監督が10回舞った Vメンバーの指揮で再びの栄冠を期待/連載20

横浜DeNAベイスターズの1998年(平10)以来となる優勝を祈念する企画連載は第20弾…最終回を迎えました。日本シリーズ第6戦に勝利し、球団にとって38年ぶり2度目の日本一を飾りました。さて、この連載を書いた2023年は、春先に首位に立つなど25年ぶりの優勝が期待されましたが、最終的には阪神タイガースに及びませんでした。次の優勝はいつになるでしょうか? 期待を胸に応援していきたいと思います。

プロ野球

後半0勝の川村が力投

1998年(平10)10月26日。日本シリーズは、横浜が王手をかけて第6戦を迎えました。舞台は横浜スタジアムでした。

「最初と最後はお前で決めてくれ」

権藤博監督からそう言われ、開幕投手ながら後半戦0勝の川村丈夫が先発のマウンドに上がりました。

1回表、先頭の松井稼頭央に四球を与え、盗塁と犠打で1死三塁のピンチを迎えます。ここを無失点でしのぐも、2回にも先頭の大塚光二に中前打を浴びてピンチを招きます。

3回には大友進に二塁打され、4回には大塚の二塁打、高木浩之の内野安打…毎回のようにピンチを招きながら、川村は丁寧な投球で、先制点を与えませんでした。

期待にこたえる好投を見せた川村

期待にこたえる好投を見せた川村

試合前、権藤監督から渡されたカードには、こんな言葉が書いてありました。

「May God be with you(神はなんじとともに)」

7月18日に8勝目を挙げてから、勝てない日々が続き、自信を失いかけていた川村は、この言葉を胸に腕を振り続けました。

「調子はよくなかったけど、そんなことを言っている場合じゃなかった。とにかく、ぶざまなピッチングだけはしたくなかった。監督に〝最初と最後はお前で締めろ〟と言われていたんで、それを自分に言い聞かせて投げました」

打線の援護がなく、0-0のまま8回を迎え、1死二塁となり、左打者の高木大成を迎えたところで、リリーフの阿波野秀幸にスイッチ。阿波野がここをきっちりと抑えました。

川村は7回1/3を101球で無失点。先発に抜てきした権藤監督の期待にこたえました。

この年最後の「ピッチャー佐々木」

その裏、ようやく打線がチャンスをつかみました。1死から波留敏夫が四球で出塁すると、続く鈴木尚典の二ゴロが野選となり、一、二塁。ローズが中飛で2死になるも、5番駒田徳広が右中間フェンスに直撃する二塁打を放ち、2点を奪いました。

西武先発の西口文也の前に、わずか3安打。しかし、この2点はチームにとって十分すぎる得点でした。

9回表、球場にアナウンスが響き渡りました。

「ピッチャー、阿波野に代わりまして佐々木。9番ピッチャー佐々木。背番号22」

右翼フェンスの一角にあるドアが開き、チームメートからの拍手を受けながら、佐々木を乗せたリリーフカーが現れると、球場は大歓声につつまれました。

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。