圧のかけ方が陰湿化 暴力、暴言が巧妙に形を変えて/指導者必読の連載〈2〉

スポーツ指導の現場では、なぜ体罰や暴言が続くのでしょうか? 今年に入ってからも体罰によって指導者が処分される事件が後を絶たず、暴行により逮捕される事案もありました。大阪市立桜宮高のバスケットボール部主将が、顧問を勤める教員の体罰を苦に自殺をしてから10年が過ぎ、4月25日には、スポーツ5団体が「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」を表明してから10年という節目を迎えます。指導に携わるさまざまな人々の証言から、あらためてスポーツ指導を考えます。 

第2回は、体罰だけでなく、言葉の暴力、そして懲罰など指導の陰湿化に迫ります。

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「お前は脳に障がいがあるからミスをする。病院に行け」

関西地区の高校野球部で、元プロ野球選手の指導者が口にした言葉である。練習でミスをした選手に平手打ちの体罰をしただけでなく、暴言を吐いていたと、学校が調査をして認定した。

日本スポーツ協会に寄せられる相談でも、体罰よりも暴言が増加傾向にある。統計を取り始めた2014年度は暴力が31%、暴言が20%だが、22年度は暴力が13%、暴言が34%である。

取材の中で「指導者が暴言を口にする」と証言する人がいたら、必ず「どのような内容か?」と具体的な発言を問うた。「バカ」「アホ」といった侮辱は日常茶飯事で、存在を否定する発言も数多く挙がった。

「やめちまえ」「死んじまえ」「殺すぞ」「殺してえ」「お前みたいな人間はいらん」

発言内容だけでなく、口調に関する指摘も多かった。まさしく、連載名の通り「マフィア」と呼ばれる口調である。

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。