150秒にかける青春〈中学編上〉危機乗り越え…“妹”にも受け継がれる日本一の精神

「GOLDEN BEARS」の妹が「Jr.BEARS」である。箕面自由学園中学も8月のジャパンカップ日本選手権で、デビジョン1(中学部門)を制覇した。2年連続で“姉妹”で達成した日本一。その道のりは、決して順調ではなかった。(敬称略)

その他スポーツ

中学校部門を優勝し、笑顔で記念撮影する箕面自由学園中A

中学校部門を優勝し、笑顔で記念撮影する箕面自由学園中A

大会目前、選手離脱の緊急事態

大阪の最高気温が35度を超えた真夏の日の出来事だった。

ジャパンカップを控え、調整は佳境を迎えていた。

Jr.BEARSの部員は中学1年から3年までの28人。

Aチームが16人、Bチームは12人で大会に出場することになっていた。

そのうち、Aチームのベースを任されていた3年生が右足をケガしてしまう。

疲労骨折のような症状で、ドクターストップがかかった。これ以上、無理はさせられなかった。

急きょ、Bチームから1人をAに上げることになる。

全員を集め、コーチから生徒に説明があった。

「ケガで出場するのが無理になってしまった」

目指していた大舞台は目前に迫っている。

それはつらい事実だった。

チームの緊急事態に、最初は戸惑いながらも手を挙げた生徒がいた。

本文残り90% (4615文字/5149文字)

編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。