150秒にかける青春〈下〉日本一へのスイッチ 箕面自由学園チア、史上最高の夏
箕面自由学園にとって、新時代の幕開けとなる日本一だった。チアリーディングの甲子園とも呼ばれるジャパンカップ日本選手権の最終日(8月20日)。デビジョン1の自由演技競技(高校部門)で2位に大差をつけて4連覇を達成した。選手が自ら考え、行動し、たどり着いた頂だった。(敬称略)
その他スポーツ
シリーズラインナップ&今後の配信予定
「この子たちを信じる」多くを語らず送り出す
静かな朝だった。
8月20日、午前8時過ぎ。
「GOLDEN BEARS」の部員たちは、渋谷からバスで10分ほどにある駒場学園のホールにいた。
決勝の朝、最後の調整。
緊張を解くように時折、会話をしながら笑顔が見える。
動きを確認し、本番へのイメージを膨らませていく。
ほぼノーミス。完璧に仕上がったといっていい。
傍らで見守っていた監督の野田一江は、声を潜めながら話しかけてきた。
「もう、私たちは何も言わなくてもいい。
そんな心境に達しました。
この子たちを信じています」
力を出し切ることができれば最高の演技ができる。
確信が持てるまで、準備を進めてきた。
心配があるとすれば、1つだけ。
会場となる国立代々木第一体育館は1万3000人を収容。ほぼ満員に膨れ上がるだろう。
会場の雰囲気にのまれることもあるかも知れない。
Aチームを担当するコーチの井上綾香は学生時代、その雰囲気を体感している。
選手を集めると、短い言葉で伝えた。
「みんなの声が聞こえなくなるくらい、音がすごいから。
1万3000人の手拍子が響いてくる。
それをイメージして!」
やり残したことはない。
だからこそ、多くは語らない。
あとは信じるだけ。
これまで、長い時間をかけてやってきたことを-。
自分の教え子たちを-。
本文残り87% (5214文字/5963文字)

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。
