元祖「山の神」今井正人のラストメッセージ

箱根駅伝で元祖「山の神」と呼ばれた男子マラソンの今井正人(トヨタ自動車九州)が39歳で引退しました。

2月25日に福岡での日本選手権クロスカントリーがラストラン。

44位でゴールして、晴れやかな表情を見せました。

順大時代に山登りの5区で3年連続区間賞。

一方で実業団入り後は故障に苦しみました。

15年世界選手権北京大会は、代表入りも直前の故障で痛恨の欠場を経験。

山あり谷ありの競技人生を振り返り、次世代へのエールも送りました。

元祖「山の神」ラストメッセージ全文を送ります。

陸上

5区3年連続区間賞

今井正人(いまい・まさと)1984年(昭59)4月2日、福島県生まれ。小高中学校、原町高校をへて順天堂大に入学。順大では箱根駅伝5区の山登りを任され、2年時に11人抜きなど、大学3年間で合計20人抜き。3年連続区間賞で「山の神」と呼ばれた。07年トヨタ自動車九州入り。マラソンは苦戦が続いたが、15年東京で当時日本歴代6位、自己ベストの2時間7分39秒をマークした。MGCは2度挑戦も、五輪切符は獲得できなかった。169センチ、55キロ。

「これだけ幸せなことはない」

現役ラストランで、声援を受けて力走する今井(2024年2月25日撮影)

現役ラストランで、声援を受けて力走する今井(2024年2月25日撮影)

――ラストランを終えていまの感想はどうですか

今井 重たい走りになりましたけど、本当に皆さんの声援が途切れることなく、本当に走らせてもらって、ゴールまで背中を押してもらったレースになった。本当に感謝いたします。

――ゴール後に笑顔だった理由を教えてください

今井 これだけ応援の方も多い中で走れた。これだけ幸せなことはない、1歩1歩。名残惜しくて、大分長く走ってしまいましたけど、本当に楽しく、苦しい時も、応援が途切れなかったので、本当に背中を押してもらいました。

「名前を呼んでくれて」

――最後に深々と一礼。どんな気持ちでしたか

今井 これまでの感謝の気持ち。本当にそれだけですね。皆さんに走らせてもらった、支えてもらった、そういう気持ちを。自分も日頃からレースではコースだったり、大会側の運営だったり、そういうところに感謝の気持ちを込めて走っていましたけど、今日はそれにプラスして、これほど本当に多くの方が、名前を呼んでくれて、応援してくれて、ゴールまで連れてきてくれて、押してくれたと思います。

東京マラソン兼MGC「マラソン・グランドチャンピオンシップ」&世界選手権出場選手選考会 男子 東京マラソンでMGC出場権を獲得し、日本陸連・瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(左)から盾を贈られた今井(2019年3月3日撮影)

東京マラソン兼MGC「マラソン・グランドチャンピオンシップ」&世界選手権出場選手選考会 男子 東京マラソンでMGC出場権を獲得し、日本陸連・瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(左)から盾を贈られた今井(2019年3月3日撮影)

――スタート前に、近くの選手と話していましたが、どんな話でしたか

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スポーツ

菊川光一Koichi Kikukawa

Fukuoka

福岡市博多区生まれ。93年入社。所属部署、担当歴は総務、整理、写真、報道、ソフトバンク、Jリーグ、高校野球など。
海外取材歴は写真部時代の00年シドニーパラリンピック、01年マリナーズ・イチローなど。15年九州写真記者協会・プロスポーツ組写真部門賞受賞。
スポーツ歴は野球、陸上中・長距離。大学で九州学生駅伝出場。