【九州Jクラブ漫遊記〈5〉鳥栖編】バッジオに落合…川井健太監督の思考をのぞいてみた

九州育ち、九州在住記者による「九州Jクラブ漫遊記」。第5回はJ1サガン鳥栖・川井健太監督(42)インタビューです。元イタリア代表FWロベルト・バッジオに憧れた新進気鋭の指揮官だ。好奇心は多岐にわたり、プロ野球界屈指の理論家、落合博満氏の名前も。42歳の監督が描く未来とは。川井監督の言葉をたっぷりお届けします。

サッカー

■23年九州サッカー協会管内のJクラブ■

【J1=2チーム】

サガン鳥栖、アビスパ福岡

【J2=3チーム】

大分トリニータ、V・ファーレン長崎、ロアッソ熊本

【J3=4チーム】

ギラヴァンツ北九州、鹿児島ユナイテッドFC、テゲバジャーロ宮崎、FC琉球

練習を見守る川井健太監督

練習を見守る川井健太監督

プロ経験J2の2試合のみ J2愛媛で監督経験

川井健太(かわい・けんた)

1981年(昭56)6月7日、愛媛・宇和島市生まれ。サッカーは3歳上の兄の影響で、小2から小学校のスポーツ少年団で始める。城南中から松山工高に進学し愛媛FCユース所属。桃山学院大を経て04年JFL愛媛FC入団。J2昇格初年度の06年限りで現役引退。J2出場2試合無得点。08年指導者転身。J2愛媛監督、山形コーチなどを経て22年鳥栖監督就任。184センチ、72キロ。血液型B。

22年就任、新進気鋭の42歳

攻守にアグレッシブなスタイルで、今最も注目を浴びている若手指揮官かもしれない。

J1采配2年目の川井監督が、地方クラブの雄、鳥栖を躍動させている。

とにかく、攻守に走って、走って、走りまくる。

直近では、象徴的だったのが9月15日横浜F・マリノス戦だろう。

昨季王者に一歩も引かず、むしろ決定機は多かった。

選手の走行距離は1試合平均約10キロとされる中、鳥栖のダイナモこと、ボランチのMF河原創(25)がチーム最長の13・16キロでけん引。チーム1試合平均値でも、J1トップの121・289キロというハードワークで応戦した。

加えて、ビルドアップで攻撃を組み立て、DFラインを高く保ち、ハイプレスでボールを奪う…。武器とするスピードと連動で、敵地ながら昨季J1覇者から先制点をもぎとった。

終了間際に一瞬のスキを突かれて追いつかれたが、PK獲得や2度のクロスバー直撃シュートなど怒濤(どとう)の攻撃で、今季も優勝を争うビッグクラブを脅かした。

「走力」は川井監督にとってベースのスキルだ。

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スポーツ

菊川光一Koichi Kikukawa

Fukuoka

福岡市博多区生まれ。93年入社。所属部署、担当歴は総務、整理、写真、報道、ソフトバンク、Jリーグ、高校野球など。
海外取材歴は写真部時代の00年シドニーパラリンピック、01年マリナーズ・イチローなど。15年九州写真記者協会・プロスポーツ組写真部門賞受賞。
スポーツ歴は野球、陸上中・長距離。大学で九州学生駅伝出場。