
「今年は頂点を狙える」
もし、レブロン・ジェームズが大学進学を選択していれば、ちょうど4年生。その12月30日に22歳になる彼が、クリーブランド・キャバリアーズという古豪の命運を握り、「初優勝を」と願うファンの期待を彼が一身に背負っている。

- ドラフトから3年、着実に階段を上ってきたジェームス。チーム、そして街も彼の成長と共に輝きを取り戻そうとしている。 (c)Nathaniel S. Butler/NBAE/Getty Images
そんな声を意識する彼も今季、キャンプが始まるとすぐに、こう自信を言葉にした。
「去年は、プレーオフ出場が大きな目標だった。今年は、頂点を狙えると思う」
あながち、リップサービスでもない。わずか3年のキャリアながら、彼の軌跡をたどれば、チャンピオンシップへの道を着実に歩む。
かつてはプレーオフの常連チームだったキャブスだが、ジェームズがドラフトされる前の5年間は、22勝、32勝、30勝、29勝、29勝と低迷。しかし、彼の1年目に35勝を挙げたチームは、翌年に42勝まで勝ち星を伸ばし、昨季は50勝に到達してプレーオフ出場を果たした。
そのプレーオフでも、2004年と2005年にファイナル進出を果たし、昨年も64勝を挙げて優勝候補といわれたピストンズを瀬戸際まで追い詰めている。彼は昨季、オールNBAファーストチーム(※)に選ばれ、MVP投票でも2位となった。わずか3年で、NBAのトップ選手と肩を並べたことにもなる。
※オールNBAファーストチーム : NBAのそのシーズンのベスト5。セカンドチーム、サードチームも毎シーズン選出される。
アクロンが僕を育ててくれた
ところで、そんなジェームズの活躍によって勢いづくキャブスだが、数年前にオーナーが変わり、もしもドラフトでジェームズを指名できず、そのまま低迷を続けていれば、今ごろ、移転が決まっていたはずだ。

- チーム、そしてNBAでも数々の最年少記録を持つレブロン。この21歳の若者は、その進化の過程の中で、いくつの記録を塗り替えるのだろうか? (c)Andrew D. Bernstein/NBAE/Getty Images
地元出身の彼がフランチャイズを救ったというシナリオは、ある意味出来すぎているが、かつて、タイヤなどゴム産業で栄えたものの、その衰退とともに活気を失った彼のホームタウンであるアクロンという街も、彼のおかげで躍動を始めている。
彼は、いまでもクリーブランドから車で30-40分ほどかかるアクロンに住んでいるが、彼の納める莫大な税金が、低所得家族への援助などに利用され、少年犯罪などの減少にも寄与しているそうだ。もちろん、陰では私財も投じて、低所得者用の住宅建設をサポートしている。自身もかつて、この街で苦しい生活を強いられた。その経験が、行為に結びついている。
10月7日、そのアクロンの街で、キャブスの紅白戦が行われた。高校時代から慣れ親しんだアリーナに戻ってきたジェームズは、ストレートに感情を表現している。
「この街が僕を育ててくれた。ここは、僕のホームタウンだ。彼らこそが、いつも僕を支えてくれている」
次いで、アリーナのいたるところからかかる声援を背に発した、彼の疑いのない決意も、純粋だった。
「ファイナルに進んで、それを制することも今のチームなら可能だと思う。今、自分の頭の中には、それしかない」
「Championship!」
世界選手権を経験して、「成長を感じる」と話してくれたのは、2度のファイナルプレー経験がある、チームメートのエリック・スノー。

- レブロンがチャンピオンリングを手にするということは、NBAの数々の強豪とスーパースターを倒す、という事に他ならない。 (c) Layne Murdoch/NBAE/Getty Images
「ゲイリー・ペイトンやアレン・アイバーソンらとプレーして、彼らがファイナルにチームを導く様を見てきてたが、ジェームズはいまや、実力とリーダーシップを兼ね備えた選手になった。こっちこそ、彼の今季の活躍が楽しみだよ」
10月6日の練習後、チームはコート中央で円陣を組んだ。ジェームズが右手を挙げると、他の選手も倣う。するとジェームズは、アリーナ中に響き渡る声で、言った。
「Championship!」


