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暑さに強い有森裕子　日本最高の小鴨由水　松野明美は補欠ではなく･･･

[1992年3月28日0時0分]

: 昨年8月世界陸上で4位に入った有森裕子は、真夏のマラソンで暑さに強いところを見せ、五輪代表へ

日本陸連強化本部会(小掛強化本部長)は27日、東京都渋谷区の岸記念体育会館できょう28日の理事会に推すマラソン男女2代表と(既に一人は決定)補欠一人の原案をまとめた。女子は、世界陸上4位の有森裕子(25=リクルート)と、大阪国際優勝の小鴨由水(20=ダイハツ)でほぼ一致。男子は東京国際1、2位の森下広一(24=旭化成)中山竹通(32=ダイエー)が推されるもようだ。補欠も男女一人ずつが決まり、理事会が承認すれば正式決定となる。

午後7時15分から始まった陸連・バルセロナ五輪強化本部会には、小掛照二強化本部長、大串啓二強化委員長、浜田安則長距離担当ら9人が出席(小林科学部長は欠席)した。およそ4時間にもわたって選考5大会の資料の検討が行われ、優勝記録、コース難度、また五輪と同じコースを使った、15日のカタルーニャマラソンを走った宗猛(旭化成)の詳しい報告書も提出。気温、湿度、作戦まで話し合われた。

午後11時前、会議の途中で小掛強化本部長が出てきて「選考基準を決め、メダルを取れるチームを選んだ。意見は割れなかった」と説明。男女残りの2議席、補欠一人をきょうの理事会にかける。

注目される女子については、大阪国際で初マラソンで優勝、2時間26分26秒の日本最高をマークした小鴨が推され、また昨年、ビッグ大会の東京世界陸上で4位、30度を超える暑さの中で2時間31分8秒をマークした有森の力を大きく評価。坂、粘り強さ、また有森の強さを裏づける科学部のデータも提出され、異論は出なかったようだ。日本最高をマークした小鴨は、若さ、初マラソンの経験のなさを懸念する声もあるが、レースで終始先頭を走り続けた点も、本番での期待につながった。

松野は26日、「わたしを選んでください。必ずメダルを取ってみせます」と、強烈なアピール会見を熊本で行った。しかし有森の暑さへの強さ、粘り、世界選手権という大舞台での好成績、また小鴨にも敗れた選考会の成績に基づいて、残る2議席には入れなかったようだ。補欠の候補ではあるが、1万メートルでの出場では依然トップ候補でもあり、トラックシーズンでのレースを奪わないためにも、補欠を外す可能性がある。女子は既に決定した山下佐知子(27=京セラ)、有森、小鴨の3人と五輪初出場がそろうことになりそうだ。

帖佐専務理事は「みなさんが心配するようなことはない。落ち着くところへ、落ち着きました」と強化本部会後に話した。きょう28日、24人の投票権を持つ理事らによって理事会が行われ、正式決定される。29日は評議会で、手続き上承認の形を取る。今回はバルセロナのメダルを目標にしているだけに、反対意見はあっても原案が覆ることはないとみられている。【増島みどり】

◇選考レース上位戦績◇

【女子】

北海道 ❸岩下里美(沖電気宮崎)2時間35分1秒❹山本佳子(ダイエー)2時間36分22秒

世界陸上 ❷山下佐知子(京セラ)2時間29分57秒❹有森裕子(リクルート)2時間31分8秒

東京国際 ❶谷川真理(資生堂)2時間31分27秒

大阪国際 ❶小鴨由水(ダイハツ)2時間26分26秒❷松野明美(ニコニコドー)2時間27分2秒❹山本佳子(ダイエー)2時間27分58秒

名古屋国際 ❶大江光子(日本生命)2時間31分4秒❷谷川真理(資生堂)2時間31分9秒

■24人に投票権

陸連理事会決定理事は現在19人。このほか、理事会の議長である青木半治会長、副会長3人、帖佐専務理事の24人が投票権利を持っている。かつて強化本部会での原案が覆ったことはあるが、代表選考の問題で理事の投票で採決されるまでに至っていない。もし、採決の場合は、理事3分の2の出席が必要で、賛成は半数以上いる。また29日行われる評議会では、理事会決定を承認する。

◆日本陸連強化本部◆

専務理事　帖佐寛章(日本エアロビクスC)長距離

強化本部長小掛照二(弥生エフォート)三段跳

強化委員長大串啓二(旭化成) 障害

学連担当　関岡康雄(筑波大教)三段跳

シニア部長安田矩明(中京大教)棒高跳

技術部長　大西暁志(順大教)走高跳

実業団担当貞永信義(鐘紡)長距離

高体連担当貞島瑞穂(鳥栖工教)長距離

長距離担当浜田安則(京セラ)長距離

科学部長　小林寛道(東大教) 欠席

◆有森裕子(ありもり・ゆうこ) 1966年(昭41)12月17日、岡山市生まれ、25歳。就実高から日体大を経て、現在リクルート勤務。91年大阪国際マラソン2位、同年世界陸上マラソン4位。自己最高記録は2時間28分01秒。164センチ、48キロ。