「大迫半端ないって!」という言葉が、サッカーのW杯ロシア大会で流行語になった。女子ゴルフ界の期待の若手、堀琴音(22=東芝)は、その言葉の生みの親と同じ、兵庫・滝川二高の出身だ。

 その言葉は、08年度の全国高校サッカー選手権大会で、大迫勇也擁する鹿児島城西に敗れた滝川二高DFが、試合後の控室で涙ながらに発した。堀は「あれこそ、滝川二高の精神を表している言葉。私は、負けたけど、大迫選手のことをたたえた先輩を誇りに思っています」と胸を張った。

 サッカー、野球以外にも全国トップレベルの部活が多かった滝川二高。「全国優勝ということを共通の話題にして、互いに刺激しあっていました」と在学当時を振り返る。当時サッカー部の監督だった栫(かこい)裕保教諭(57)には、体育を教わった。「自由にやらせてくれて、自分で考えることを教えてもらいました」という。あいさつや礼儀に厳しく、勝っておごらず、負けても相手のことをたたえるという精神は、プロになっても大切に心にしまっている。「生まれ変わっても、絶対滝川二高に入ります」と堀は言った。

 栫教諭は、15年にサッカー部の監督を勇退後、堀が所属していたゴルフ部の部長に就任。10年度のサッカーに続き、17年夏の全国高校ゴルフ選手権女子団体の部で優勝に導いており「あの先生、持ってるなと思いました」と高校時代全国3位が最高だった堀も舌を巻く。

 今季は、なかなか結果が出ない。15日に終了したサマンサタバサ・レディースでも、5オーバーで予選落ち。それでも、第1日には今季最高の1アンダー、71をマーク。長かったトンネルから抜け出しつつあり「徐々にいろんな感覚をつかみつつあります」と前向きだ。15年にプロとして本格ツアー参戦。16年の日本女子オープンゴルフ選手権では2位に入るなど、賞金ランク11位。17年も同21位と3年連続シード権獲得の実力者。姉の堀奈津佳と美人姉妹としても注目される堀の「半端ない」活躍が見られる日は近い。【桝田朗】