全米女子オープン(サウスカロライナ州CCチャールストン)は1週間後の30日に迫った。今年の女子メジャー第2戦には今、注目される98年生まれの「黄金世代」と00年生まれの「プラチナ世代」の新顔選手が出場する。ともに4月に茨城・大利根CCで開催された日本地区最終予選で出場権を勝ち取った2人だ。

プロで有望株ひしめく98年生まれの天本遥香(20)は、畑岡奈紗、勝みなみ、小祝さくら、新垣比菜らと同学年。福岡出身で勝や新垣らとはアマチュア時代から九州の大会で顔を合わせてきた。「私も一応、黄金世代です」と苦笑いしつつも静かに燃えている。畑岡と新垣も出場する全米女子オープンに向け「(同期に比べ)出遅れたけれど、自分のペースで。私は強くなって今から行きます」と巻き返しを誓った。

3度目挑戦となるプロテスト合格、QT通過が今年最大の目標だ。高校卒業後、故障などが相次ぎ、好成績を残すことができなかった。周囲から「アルバイトよりも競技に集中して」との助言を胸に、毎日のように練習許可を得ている地元コースで練習。「収入源といわれると特に…。なのでプロになって早く恩返ししたい」と意気込んでいる。天本は「WOWOWで米ツアーをみて参考にしている。しっかり挑戦したい」。あこがれのメジャーでのプレーを大きなステップととらえている。

今年がプロテストとなる00年生まれのプラチナ世代では上野奈々子(18)が初めて予選を勝ち抜き出場権を得た。女子プロツアーの18年大王製紙エリエール・レディースで優勝争いし、7位フィニッシュした実績もあるが、今年のアジア太平洋女子アマ覇者、オーガスタ女子アマ3位の安田祐香や昨年の日本女子アマ、日本ジュニアを制した吉田優利らアマながらプロツアーで優勝争いを繰り広げる他選手の陰に隠れた存在となってきた。同学年の活躍に刺激を受けながら上野は「自分のゴルフが大事」とマイペースでレベルアップを続けてきた。同じく出場権を得た吉田とともにメジャー第2戦に挑む。

米男子ツアーをチェックし、タイガー・ウッズやジョーダン・スピースのプレーを参考に練習している。ウッズのマスターズ復活優勝に大喜びしたといい、米ツアーには強いあこがれを持つ。「プロになってお金をためてから米国に行こうと思っていた。まさか試合で行けるなんてテンションが上がります」。ハワイや宮崎などで開催された国際大会で米アマ選手と積極的な交流するなど社交性も高い。「向こうの選手はフレンドリーで仲良くできます」とメジャー出場での交流も心待ちにしている。

黄金世代、プラチナ世代からまたも登場してきた新顔たち。難セッティングのコースを攻略可能な潜在能力と爆発力を兼ね備える2世代のニューフェースによる全米女子オープンの活躍も大きな楽しみだ。【藤中栄二】

(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

上野奈々子(2019年4月22日撮影)
上野奈々子(2019年4月22日撮影)