世界アマチュアランク1位中島啓太(21=日体大)が6日終了のアジア・パシフィック・アマチュア選手権で優勝した。日本選手では松山英樹、金谷拓実に次ぐ3人目の快挙で、来春のマスターズ出場権を手にした。それ自体、単純にすごいが、そこまでの過程を、9月半ばから2カ月弱のスケジュールを考えると、なおさらすごい。ずっと「僕の今の目標はアジア・パシフィックで優勝することです」と公言し続け、過酷な日々を乗り越えたことが、本当にすごい。

ウェブで1度書いたことだが、もう1度書く。

練習ラウンド15番、中島(右)のティーショットを見つめるコリン・モリカワ(撮影・河田真司)
練習ラウンド15番、中島(右)のティーショットを見つめるコリン・モリカワ(撮影・河田真司)
アマチュアの中島啓太(2019年5月11日)
アマチュアの中島啓太(2019年5月11日)

9月12日の週は大学のリーグ戦があり、9ラウンドした。

同19日の週は国内ツアーのパナソニックオープンで史上5人目のアマチュア優勝。練習から5ラウンド以上+プレーオフを回った。しかもアジア・パシフィックに備え、2つの負荷を連日、自分に課した。「プレッシャーがかかる場面で自信を持って握れるように」と、パー3を除く14ホールの第1打はドライバー。スタート前にコースと宿舎の間にある24時間営業のジムでトレーニングを続けた。

同26日の週は、パンクした。バンテリン東海クラシックの第2ラウンドスタート前に腰痛で棄権。「朝起きてビックリした」という症状は、オーバーワークがたたったのだろう。昔からダメージが来る部位が腰らしく、この時点で目標のアジア・パシフィック・アマチュア選手権に暗雲が漂うことになる。

10月10日の週は、1週間空いたものの腰のダメージが抜けきらない中で日本オープンに出場、予選通過して4ラウンドをプレーした。日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームメンバーにとって、1年で一番大事と言っても過言じゃない大会だった。

同17日の週は、ZOZO選手権で4ラウンド。日本開催の米ツアーという非常に特別な大会に主催者推薦で出場した。日本オープン並みの重圧があったはずだ。

同24日の週は、団体戦の信夫杯日本学生で練習から3ラウンド。日体大で来年の主将が確実な立場だけに、ここも気は抜けない。

その翌週、UAE・ドバイでアジア・パシフィック・アマチュア選手権があった。どうです? 過酷でしょう?

中島は「準備」という言葉をよく使う。尊敬してやまない先輩の金谷拓実に最も影響を受けたのが「準備」らしい。今回、体調万全ではなかったはずだ。その点から見れば「オーバーワークによる準備不足」だったと言えなくもないが、本人にすればやるべきことを全力でやり、乗り越えるべき試練、重圧を持って臨むことこそが「準備」だったのかもしれない。

バンテリン東海クラシックの頃だったか、中島はこう言っていた。

「来年はもっと忙しくなると思うので、しっかりやっていかないと」。

アマ世界一の称号「マーク・マコーマックメダル」を受け、全米、全英両オープン出場はすでに決まっていた。さらにマスターズ。全米プロはプロだけだから、アマチュアではMAXのメジャー3大会の切符を手にした。純粋で、真っすぐな中島の2022年が楽しみだ。【加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)