ちまたでは「効く」とうわさの「タケ小山のゴルフ即効薬~今週の処方箋」。今週もお薬飲んでいただきましょう。毎週火曜日、あなたの街のプロゴルファー、タケ小山(52)がお届けしています。今回は「足のあるアプローチほど確率が高い」です。アプローチ上手になっちゃうよ~!
トーン、キュキュッ!と寄せたいのは分かるけど
- アプローチは上げにいくと失敗の確率が上がる
それにしても、アマチュアのみなさんはアプローチでボールを上げたがりますよね~。気持ちはわからなくありません。トーン、キュキュッ! とスピンがかかってピタッと止まるアプローチ、カッコいいですもんね。プロのプレーを見てそのイメージ通りにやりたい気持ちは痛いほど伝わってきます。でも、できないでしょう? 成功確率どれくらいですか? 高いと思っているのはたぶんカン違いですよ。
プロだってそんなにキュキュッと止まるアプローチばかりしているわけじゃありませんよ。カッコいいからイメージとして強烈に残っているだけ。ボールの置かれたライ、グリーンの状態、ピンの切られた位置などさまざまな条件がそろって、それで寄せられる時だけやっているんです。
特にグリーンが硬くて速い米ツアーでは、そんなアプローチでは寄らないことの方が多い。状況をしっかり見極めてやっているんですね。そのあたりをまず、前提として知っておいてください。ボールだってスピンのかかりやすいものじゃなければなかなか難しい。飛距離を求めて飛ぶボールを選んでいるのにトーン、キュキュッ! をやろうとしても無理というものです。
先週は、ボールを上げるのはスイングではなくロフトだ、というお話をしました。でも、正直、上げるんじゃなくて、転がすアプローチのほうが成功率は高いんですよ。スコアアップしたいなら、効率のいいアプローチをしましょうよ。しっかり転がりながら寄せていくラインの上にカップがあるアプローチ。そう、合言葉は『のりしろ』です。分かりますか? コロコロコロとボールがカップに向かって転がりながら寄っていく。これが『のりしろ』です。
ねっ!? この方がどう考えても寄る確率、入る確率は高いでしょ? 自己満足ではなく、1打でも少ないスコアで上がることを考えるのがゴルフなんです。寄っていくどころか、最高の場合はカップに入ることまで考えられる。転がってカップに寄っていくアプローチ。転がし、あるいはピッチアンドランがそれなんです。泥臭くってもいいんです。アマチュアに空中戦は無用です。
- 泥臭くても足のあるアプローチでコロコロと寄せていく方がスコアアップにつながる
今週の処方箋
アプローチは地上戦だ!
【服用法】かっこつけてミスするより、泥臭くても寄って入った方がいい。アプローチは転がしましょう。あげるのは給食の揚げパンだけ!
◆タケ小山(こやま)本名・小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。
◆協力 ザ・インペリアルCC(茨城県稲敷市)
◆取材・構成 遠藤淳子
◆撮影 山崎安昭