片山晋呉(44=イーグルポイントGC)が、エキストラ3ホールを含む21ホールの末に趙炳旻(チョ・ビョンミン、28=韓国)を破り、決勝に進出した。

 エキストラ3ホール目となる18番で3メートルのウイニングパットを沈めると、何度も拳を握り、ほえた。「感情が爆発しちゃいましたけど、あれくらいはしますわね(笑い)」。第2打をボール1個分、ピン近くにつけていた。先に打った趙のバーディーパットが外れる。「このために練習しているんだと思えた」。パット練習で常に思い描くのは「これを決めたら優勝」という場面。毎日の積み重ねが土壇場で生きた。

 1ダウンと追い詰められて迎えた正規18番ではグリーンエッジから5メートルをパターで流し込み、望みをつないでいた。相棒はここ数試合で使い始めた長尺パター。16年のアンカーリング禁止後は封印していたが「米山(剛)さんのところに電話して聞きにいったんです。2時間くらい教えてもらいました。僕には想像もつかないような発想、打ち方を教えてもらった。こんなに気持ちよく打てるのは高校生の時以来。今は思ったところにしか出ない」。8月にシニアで2連勝していた日大の先輩、米山剛(52)からヒントをもらい、自信を持って再投入していた。

 44歳7カ月10日での優勝となれば、ツアー競技のマッチプレー大会としては77年日本プロマッチプレー選手権を制した橘田規の43歳25日を上回る最年長記録。今週だけで78ホール、1回戦から数えれば113ホールを戦ってきた。「1ホール1ホールが優勝争いをやっているような雰囲気。一番年なのに、一番ホール数を重ねて、明日どうなってしまうのか…」。

 それでも、決勝の相手である前週優勝のH・W・リュー(36=韓国)には12年コカ・コーラ東海クラシックのプレーオフで敗れた因縁もある。「ここまで来たら、あと1つ。1番から気持ちを入れていきたい」。気力を振り絞って、頂点を狙う。