尾崎将司(70)が、不振にあえぐ石川遼(26)の再生に一役買った。スタート前に呼んでドライバーを直接指導した。石川遼は4バーディー、4ボギーの72で回り通算1オーバー145の65位。1打差で国内3試合連続で予選落ちも手応えをつかんだ様子。尾崎も87位で予選落ちした。永野竜太郎(29)が、通算11アンダーで首位に立った。

 スタート前の静かな朝だった。ジャンボは練習場で石川遼を見つけると声をかけた。「おい、遼! ちょっと打ってみろ」。極度の不振に陥り、悩んでいることは人づてに聞いていた。黙っておくわけにはいかない。まさに親心だった。ドライバーを振らせると、ひと目で分かった。「トップからダウンスイングまでの間が全然ないな」-。そう指摘すると、自らのスタート時間が迫っているにもかかわらず10分間熱心に指導した。

 思いは伝わった。石川遼は「振り遅れるのが怖くて、どんどん間がなくなっていた。感謝しかないです」。まだショットが不安定に曲がるものの、結果は4バーディー、4ボギーの72。大崩れはなく、わずか1打差で3試合連続予選落ち。かすかながら、復調の兆しはつかんだ。

 「ドライバーがイップス気味になっているからな。俺は自分の思っていることを言っただけだ。遼は頑張らないといけないからな」

 無愛想にそう語ったジャンボだが、心から復活を望んでの行動だった。自身も87位で予選落ちとなったが「俺は5バーディーだ。いつでもノーボギーにできる態勢にはある」。まるで石川遼にハッパをかけるように、そう言い放って会場を去った。【益子浩一】