東北福祉大3年の久保田皓也(ひろや、20)が、アマチュアのツアー優勝に王手をかけた。首位と3打差7位から出て6バーディー、1ボギーの67で回り、通算10アンダーの206で単独首位に浮上。兵庫・滝川二高時代、日給1万円で今大会の開催コースでキャディーをした成果が出た。勝てば大学の先輩に当たる松山英樹が11年に達成して以来、史上4人目(73年ツアー施行後)のアマチュアによる優勝となる。1打差の2位に前日トップの時松隆光(24)が続く。

 無名のアマチュア久保田にとって、今大会の開催コースは庭のようなものだ。ジワリと上位に食らいつきながら、残り3ホールで一気にプロを抜き去った。16番パー4でグリーンエッジからの25メートルが、直接カップに吸い込まれて勢いに乗る。続く17番パー3では1メートルを入れ首位タイ。最終18番パー4では7メートルを沈め、3連続バーディー締めで、ついに単独首位に立った。風の流れ、コースの形状、全て計算済みだった。

 「昨日までが100点満点なら、今日は150点。ここはグリーンの傾斜が強いので最悪2パットで上がる。狭くて気持ち悪いホールもあるので、打ち急がないように気をつけました」

 兵庫・滝川二高時代、今大会の会場である小野東洋GCでキャディーを務めた。日給1万円で、月2~3回。アルバイトが終わると、夕暮れのコースを回らせてもらって腕を磨いた。3年間で100回以上。そのため「見なくてもだいたい分かります。マネジメントはバッチリ」と熟知する。前日に同組だった池田勇太も「ここで育ったんでしょ? よく分かっているね。若いゴルフは、俺にはできない」とうなるほどだった。

 女子で黄金世代と呼ばれる小祝さくら、新垣比菜らと同じ98年生まれ。アマチュアで優勝すれば、73年のツアー制度施行後では大学の先輩に当たる11年松山以来4人目の快挙。この大会では史上初になる。

 「松山さんの球筋を見て学んだ。ほとんど話したことはないので今回で僕の名前を覚えてくれたらうれしい」。歴史に名を刻むまであと1歩だ。【益子浩一】

 ◆久保田皓也(くぼた・ひろや)1998年(平10)1月13日、神戸市生まれ。兵庫・神港学園ゴルフ部で指導に当たっていた父の影響で競技を始め、10歳から名門の坂田塾へ。滝川二高時代の15年に関西アマ優勝。東北福祉大では17年の全国大学対抗戦で団体戦優勝。今大会はツアー3戦目で初の予選突破。ドライバー平均飛距離は270ヤード。169センチ、65キロ。

 ◆アマチュアのツアー優勝 73年のツアー制度施行後では、80年倉本昌弘(中四国オープン)、07年石川遼(マンシングウェアKSB杯)、11年松山英樹(三井住友VISA太平洋マスターズ)の3人。施行前は27年赤星六郎(日本オープン)、67年中部銀次郎(西日本オープン)が達成。下部ツアーを含めると93年片山晋呉、10年小平智がいる。