【オーガスタ=松末守司】メジャー通算14勝のタイガー・ウッズ(43=米国)が6バーディー、1ボギーの67で回り、通算11アンダーの205で2位につけ、05年以来14年ぶり5度目の頂点が現実味を帯びてきた。昨年の全英オープンで同組で回り優勝した首位で2打差のフランチェスコ・モリナリ(イタリア)と再び同組で11年ぶりのメジャー制覇に挑む。松山英樹は通算3アンダーで25位。アマチュアの金谷拓実は1アンダーの39位。

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5度目の戴冠が目の前に迫ってきた。ウッズは第2ラウンド(68)を上回る67で回り、2位タイにつけ、いよいよグリーンジャケットに手をかけた。「球を正しい場所に置き決めるだけ。それができた。アイアンもパットもうまくいった」と納得の表情だった。

連日のタイガー・チャージでパトロンをくぎ付けにした。前半は我慢のゴルフだったが、スコアを1つ落として迎えた6番パー3で1オンし、約6メートルのバーディーパットを沈めると、続く7番パー4は第2打をピンそば約30センチにぴたりとつけた。パー5の8番では2オン。これを確実に沈め3連続バーディー。後半に入っても13番パー5でスコアを1つ伸ばし15、16番で連続バーディーと「2桁を狙っていた」と言うように11アンダーと一気にたたみかけた。

流れをつかんだらだれも止められない。全盛期をほうふつとさせるプレー。この日はド派手なガッツポーズこそなかったが、かえってそれがすごみを感じさせた。

11年ぶりのメジャー勝利を世界が待ち望んでいる。連日、多くのパトロンを引き連れ、人垣が二重、三重にできる。その一挙手一投足に大歓声が沸き起こり、コースのどこにいてもウッズがどこにいるか分かるほど。すさまじいほどの人気がウッズの背中を押している。「昔からプレッシャーは感じている。それを感じなくなった日が引退する日」と重圧さえも力に替える強さがある。

度重なるケガとスキャンダルで何度もキャリアの終焉(しゅうえん)を迎えかけたが、昨年、全英オープンで6位、全米プロゴルフ選手権で2位に入り、シーズン最終戦のツアー選手権で5年ぶりに優勝とトップレベルにカムバックしてきた。最終ラウンドは、その全英で最終組でともに回り優勝をさらわれたモリナリと同組。97年、初めてメジャータイトルを手にしたオーガスタの地で、雪辱を果たした先に復活劇が完結する。