現時点で、渋野選手が東京五輪で金メダルを獲得する可能性は十分にあると思う。会場の霞ケ関CCは、彼女が国内初優勝を果たした茨城GCや今回の全英と同様の林間コースで、相性がいいはずだ。

大きな武器はドライバーの精度。五輪開催コースは見た目は幅が広いが、要所にバンカーが配されたり、ドッグレッグもあり、第1打を「落とすべきエリア」は狭くなる。ここにきちんと打てる技術がある。

コースは五輪のために改修され、以前の2グリーンから大きな1グリーンになった。当然3段、4段と起伏のある形状で、グリーンに乗せただけではバーディーチャンスにはならず、ピンと同じ段に乗せることが求められる。渋野選手のもう1つの強みはパット、特に5~7メートルのミドルパットの安定感だから、同じ段に乗せたらその時点でチャンスといえよう。

逆に言えば、常にピンと同じ段に乗せられるよう、アイアンの精度をさらに上げれば心強い。一方、深いバンカーも多いので、バンカーショットを磨くことも攻略の鍵となる。

時期的には1年後も高温多湿が見込まれ、特に霞ケ関CCは例年猛暑だ。どの野外競技もそうだが、暑さに強い外国人も日本独特の湿度には悩まされる。この点は「地の利」だ。

五輪本番までに懸念されるのは、一躍スターになったことでスポンサー、ファン、マスコミなどへの対応で忙殺されること。協会や「チーム渋野」など周囲には、本人がのびのびゴルフをできる環境を守っていただきたい。(プロゴルファー)