黄金世代の浅井咲希(21=小杉CC)が3日間首位を守っての完全優勝で、ツアー初優勝を果たした。

前週優勝で連続Vを狙った穴井詩らを振り切って、3バーディー、2ボギーの通算10アンダー、209。AIG全英女子オープンを制した渋野日向子らの活躍に沸く黄金世代から9人目の優勝となった。2位には9アンダーで穴井、3位にはイ・ボミが入った。渋野は出場していない。

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勝てば勝利が決まる50センチのパーパットを、浅井は外した。強く打ちすぎたボールは、カップに蹴られ約2メートルのボギーパットが残った。外せば、穴井とのプレーオフ。最後の試練を「最後のパットに、今まで悩んできたことをすべて込めよう」と集中しねじ込んだ。

苦しかった思いから開放されたように、涙があふれた。グリーン上では勝みなみ、大里桃子ら黄金世代の仲間から祝福された。「今日はうまいこといき過ぎ。優勝はめちゃくちゃ早かった」と優勝会見では、喜びをかみしめた。

滝川二高3年時に、パターのイップスに苦しんだ。「中学から高2まで予選落ちなかったのに、高3では全部予選落ちちゃって」。自信を無くし、プロテスト前には父の靖宏さん(50=会社経営)に「もうやめます」と申し出た。スパルタ指導の父への反発もあった。父の説得もありプロテストは受検。「どうせ1回しか受けないんだったら、悔いのないように」と猛練習で合格した。

プロになっても結果は出なかった。黄金世代の同期が次々と優勝していく中「しぶこ(渋野)や同級生も頑張っているのに、何でこんなに私は頑張れないの」と嘆いたことも。それでもチャンスはやってきた。この日の朝には渋野からも応援のラインが届いた。誕生日に小祝からもらったピアスをつけ、小祝に続く黄金世代9人目の優勝達成。「今日で自分のゴルフが通用するレベルに来ていることが分かった。難しいと言われる2勝目を目指したい」。151センチ、小柄な浅井の口から自信の言葉があふれた。【桝田朗】

<浅井咲希の使用クラブ>

▼1W=ダンロップ スリクソンZ785FL(シャフト=スピーダー569 エボリューション、硬さS、ロフト=10・5度、長さ=45インチ)▼3、5W=PING G410(15度、18度)▼HB(4~5)=ダンロップ スリクソン H65(22度、25度)▼アイアン=ダンロップ スリクソン Z585(6I~PW)▼ウエッジ=同 クリーブランド RTX4 フォージド(50度、52度、58度)▼パター=テーラーメイド スパイダーX▼ボール=ダンロッップ スリクソン Z-STAR XV

◆浅井咲希(あさい・さき)1998年(平10)6月13日、兵庫県尼崎市生まれ。4人兄弟の長女で父靖宏さんの勧めで6歳でゴルフを始める。滝川二高卒業後の17年プロテストに合格。18年のツアー出場は5試合で、今季はファイナルQT2位で前半戦に出場。リランキング1回目15位で中盤戦に出場している。151センチ、54キロ。1つ年下の弟・勇志さんはプロテスト受検予定。