20位から出た渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、奇跡の逆転勝利を果たした。8バーディー、ノーボギーの64で回り、通算13アンダー。AIG全英女子オープン以来の勝利で、今季国内ツアーは3勝目。この勝利で史上2番目の速さで生涯獲得賞金も1億円に到達した。ルーキーイヤーでの1億円突破は04年宮里藍以来、15年ぶり。24試合目の1億円突破は畑岡の17試合に続く最速2位で宮里の27試合を抜いた。AIG全英女子オープンを優勝し、世界を沸かせたスマイルが、久々にはじけた。

まさにスマイルチャージだった。4番パー4で7メートルを沈めると5、6番も決めて3連続バーディー。さらに9番も沈めて折り返し、10番も5メートルを沈めた。

前半まったく吹いてなかった風が、強く吹き始めると、上位組がスコアを落とすが、渋野は止まらない。12番でバーディーを奪うと15番で7つめのバーディーを奪うと通算12アンダーまで伸ばしてついに8打差を追いついた。

まだ終わらない。16番では、左のラフから打った第2打を直接入れてバーディーを奪取。単独首位に立ち、右手でガッツポーズをつくった。8打差逆転は、史上2番目(最多差は11打)の差。前日は「ビッグスコアを出さないと無理」と話したものの、猛チャージで奇跡を演出した。

全英女王になり、周囲が騒がしくなった。自由が利かず、最近は変装までとはいかなくても、外にでる時は帽子を目深にかぶって外出するなど苦労を重ねる。いつしか、自分のゴルフも見失い楽しさを忘れていた。トレードマークの笑顔も失いかけたが、今大会の第1ラウンドは原英莉花、新垣比菜の同じ黄金世代の仲間とのラウンド。和やかな雰囲気の中で「楽しさ」を思い出すとともに、攻めの姿勢も取り戻した。「ピンを狙っていく」。第2ラウンドからはパー5で2オンを積極的に狙っていくなど、気持ちを高め、前を追い、この日の逆転劇を呼び込んだ。