2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕の見通しが立っていません。日刊スポーツでは、ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。
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▽2015年(平27)大会(5月15~17日、福岡CC和白C)
イ・ボミ(韓国)が、ツアー史上最高の獲得賞金2億3049万7057円で初の賞金女王に輝くシーズンの初優勝を飾った。1打差2位スタートの最終日に66を出し、大会コースレコードの通算10アンダーまでスコアを伸ばし、2位大山志保に4打差をつけて逆転V。開幕から4戦連続2位など、勝ちきれなかった流れを断ち、亡き父との“約束”への疾走が始まった。
優勝スピーチで言葉に詰まった。
「今年はお父さんがいなくて、お母さんと一緒に頑張って…。お母さん、ありがとう」。
前年9月14日に父ソクジュさんが56歳の若さで他界した。同年の日本女子プロ第3日、9月13日のラウンド中に危篤の報を受けて棄権、緊急帰国。最期を見取ることはできた。だが、当時賞金ランク1位で、父が「チャンスなんだから、私のことは心配せずに頑張って」と願った賞金女王はかなわなかった。
「お父さんのことを考えたら、いつも心が痛くて、涙が出そうになって。でも、今週はお父さんのことを考える時に笑うようにしたら、気持ちが変わりました」。
最終日はすごかった。母ファジャさんお手製の“エビ入りおにぎり”をラウンド中にパクつきながら、ノーボギーの66。完璧なプレーを見せた。
待ちに待った優勝で賞金ランク1位に浮上。大会名物のギャラリー投票による「ベストスマイル賞」「ベストドレッサー賞」にも輝いた。父が亡くなってから初めての優勝だった。「今年はじぇったい、じぇったい賞金女王になります」。強くて、かわいいスマイル・キャンディーは、力強く宣言した。
■過去5年の優勝者
15年 イ・ボミ -10
16年 申ジエ -10
17年 鈴木愛 -7
18年 鈴木愛 -8
19年 イ・ミニョン -10