2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕戦からストップしている。ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。

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▽2001年(平13)大会(当時ナビスコ選手権、3月22~25日、米カリフォルニア州ミッションヒルズCC)

福嶋晃子が、メジャー自己最高位の2位となった。最終日はパットに苦しみ、パープレーの72で通算4アンダー。後にメジャー通算10勝を挙げるアニカ・ソレンスタムが同3勝目を飾り、3打及ばなかった。日本選手のメジャー2位は91年全米女子プロの岡本綾子以来10年ぶりで、米ツアー参戦3年目のことだった。

最終18番で6メートルのバーディーパットを決めた。入らなければ6位。「きょうはラインが読み切れなくて、最後にヤマをかけたらちょうど良かった。気付くのが遅かったですね」とはにかんだ。

世界で1、2を争う飛距離におぼれず、我慢のゴルフを貫いた。「緊張感は全然なかった」。ギャンブルショットや無理な攻めはせず、刻むところは刻んだ。ショットを曲げても小技で防ぐ。6番でバンカーから60センチに寄せ、7番も深いラフからピン横2メートルにつけてパーセーブ。ただ、9番の2メートル、13、15番の4メートルのチャンスは逃した。

復調の2位でもあった。前年は賞金ランク67位。負傷に苦しんだ反省から、スクワットで100キロの楽に持ち上げる下半身を作った。スイングの安定感を取り戻し、スタミナ切れしないたくましさを発揮した。

憧れのメジャーの最終日最終組。子供のころから米ツアーを目指し、プロ合格前の92年には、予選会から全米女子オープンに出場した。それだけに、福嶋は「この成績で満足しているわけじゃない」と、メジャー優勝への意欲を口にした。

ANAインスピレーションは、83年から大会名ナビスコ・ダイナ・ショアとしてメジャーになった。歴史は全米女子オープン、全米女子プロに次ぎ3番目に古いが、優勝へのハードルの高さは負けていない。

開催コースはミッションヒルズCCのみ。同CCがロングヒッター優位とされることもあり「日本選手に最も遠いタイトル」とも言われる。実際、83年から昨季まで、日本選手の10位以内は全米女子オープンで18回、全米女子プロで22回だったのに対し、ANAインスピレーションは10回。「世界の飛ばし屋」福嶋の底力を知らしめた2位だったと言えた。

■過去5年の優勝者

15年 ブリタニー・リンシカム -9

16年 リディア・コ -12

17年 柳簫然 -14

18年 パルニラ・リンドベリ -15

19年 高真栄 -10