日本人で唯一出場の松山英樹(29=LEXUS)が、日本男子悲願のメジャー初優勝を視界にとらえる2位と好発進した。1イーグル、2バーディー、1ボギーの69で回り、3アンダー。65で回った首位のジャスティン・ローズ(英国)とは4打差ながら、出場10度目で各ラウンド終了時としては自己最高順位につけた。今年からプロでは初めて特定のコーチとして、目沢秀憲氏(30)と契約するなど、17年8月以降、ツアー優勝から遠ざかる現状打破への思いが成果に表れた。

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先が見えない中で振り抜いた1打が、流れを大きく引き寄せた。8番パー5の第2打。鋭い傾斜でグリーンまでの視界はさえぎられたが、松山はフェアウエーから強振すると、ピンまで7メートルに2オン。各選手が苦しんだ硬いグリーンを、跳ねて転がることを計算して味方につけた。第3打を沈めてイーグルとし、この時点で単独首位に立った。その後、ローズに逆転されたが堂々の2位。「ここまでグリーンが硬く、乾いているのは初めてだけど、今までのことを生かして、いいプレーができた」と、出場10度目の経験を生かした。

松山にとっても、日本男子にとっても、メジャー優勝は悲願だ。特にマスターズは「1番勝ちたいメジャー」と公言。15年5位、16年7位以降、トップ10入りはなかったが、思いの強さが通じたように、13番パー5の第2打はミスしたが、池に落ちずに傾斜の途中で止まり、挽回してバーディー。運も味方し始めた。長く苦しんだグリーン上も、5、6番は2・5メートルの難しいパーパットを「流れが悪くなりそうなところで入ってくれた」と、連続で決める勝負強さが戻ってきた。

17年夏の世界選手権シリーズ、ブリヂストン招待以降、ツアー優勝から遠ざかっている。現状打破へ、今年から1学年上の目沢コーチとタッグを組んだ。コーチを付けるのは13年のプロ転向後初。同コーチは日本人では数少ない、米国レッスンライセンスTPIを取得し、的確な分析、指導は河本結、永峰咲希らをトップ女子プロに押し上げた。松山は「いろんなアイデアが出て、新たな発見が毎日あって、それがいい方向、悪い方向、両方に行くけど、今日はいい方向に行った」と効果を感じている。

浮上のきっかけをつかみたい中で、思い切りの良い選択が奏功したのは、この日のラウンドと重なる。それでも難度の高いセッティングに「いいところからセカンドを打たないと、チャンスにもつかない」と警戒心は緩めない。集大成の10度目の挑戦で頂点に挑む。