稲見萌寧(21=都築電気)が18ホール最少ストロークのツアータイ記録「61」で、20-21年シーズン6勝目に王手をかけた。スタート3連続を皮切りに5、7番、9番から7連続で17番もチャンスを決めて、ツアー新記録の13バーディーを量産。ボギーは2個で11アンダーと、2位鈴木愛に5打差をつけた。短縮の36ホール競技となったため23日が最終日。20-21年シーズン5勝の“最強プロ”が圧倒的なリードを奪った。

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会見場で画面に映る18ホールのスコアカードを見て、稲見が笑った。「気持ち悪いですね。目が痛くなりそう」。バーディーを示す○が13個も並ぶ。申し訳程度にボギーの△が2個、パーの-が3個。ツアー新記録13バーディー、最少ストロークタイ記録61は、本人が見ても尋常ではない。

「パットがよく入るな~って思った」。3個目のバーディーを奪った3番で「入れたいけど、簡単じゃない」という3メートルを沈め、流れをつかんだ。4、6番でともに事実上の3パットのボギーをたたいたが、その後はタッチを完全につかみ、9番から7連続と爆発した。前日までの雨でソフトになって、ボールが止まるようになったグリーンもプラスに働いた。

しかし、シーズン5勝、21年4勝の稲見の強さは、61という数字ではない。「今日がすべてじゃないので」とこだわらず「もっともっと欲を出して“残り全部でバーディーを”と思っていた」という。誇れる記録は19年パーオン率1位。歴代最高の78・2079%。武器のショットにパットがかみ合い、5打リードで最終日へ。「前半はいつも通りで、後半に気合を入れたい」。貪欲に気を抜かず、現在最強プロが勝利をつかみに行く。【加藤裕一】

 

◆稲見の記録

◇18ホール最少ストロークタイ記録 61

12年サントリーレディース最終ラウンド(R)でキム・ヒョージュ(当時アマ、韓国)が記録。

◇18ホール最多バーディー新記録 13個

過去最多は11個で具玉姫(03年ダイキン・オーキッドL)森田理香子(10年IDC大塚家具L)諸見里しのぶ(当時アマ、05年中京テレビ・ブリヂストンL)キム・ヒョージュ(12年サントリーL)蛭田みな美(19年CAT・L)申ジエ(19年デサント東海クラシック)が記録。

※最多連続バーディー ツアー記録は諸見里しのぶ、成田美寿々の8連続で1ホール及ばず。