新型コロナウイルス感染から復帰2戦目の岩本高志(46=K,s GOLF LOUNGE)が5アンダー、67、ホールアウト時点で首位と3打差の好スタートを切った。5月1日にPCR検査の陽性判定を受け、ホテル隔離、入院…。闘病の影響か感覚にずれがあり、この日はバッグに初使用の長尺などパターを2本入れ、2イーグル、3バーディー、2ボギーとスコアを伸ばした。

岩本は前半インで2イーグルを奪った。13、18番のパー5で3番ウッドを使って、2オン。1・5メートルと2メートルのチャンスを決めた。文句なしのビッグプレーだった。しかし、恥ずかしそうに告白した。

「実はコロナ明けで感覚がおかしくて、パターを普通のやつと“お守り代わり”の長尺と2本を入れて。結局、お守りの方を使いました」。プロ転向24年目で初めて長尺を使った。「振り子で振れて、いい練習になる」と今週入手し、長尺使いのツアー仲間に片っ端から弟子入り。本番で使うつもりはなかった。しかし、スタート10番のパーパットを通常パターで打つと気持ち悪さが湧き上がり、緊急避難的に使ってみると…ハマってくれた。

コロナ罹患(りかん)の影響だ。5月1日、3アンダーの32位スタートした中日クラウンズの第2ラウンド開始前に発熱し、抗原、PCR両検査を受けて陽性判定が出た。クラブハウスに入れず、車中待機、その後は自分で運転し、仮眠を取りながら、1日以上かけて都内の自宅に戻った。

最初はホテル隔離。「でも、せきで苦しくて眠れなくて」。2月にマイコプラズマ肺炎にかかっており既往症があった。4日後には入院して8日間。熱は最高で38・7度。症状は治まり、退院し、しばらくしてドライバーを打てば240ヤードしか飛ばず、大幅に飛距離がダウン。カートでのプレーもきつかったのに、6月初旬のツアー選手権も見送るつもりだったが、見切り発車的に復帰、予選落ちした。「今回もなんとかいけそうとなったのが2週間ほど前。3カ月かかった。でも、正直まだ完全とは言えません」という。

1番つらかったのは、周囲への影響だった。妻も子もいる。心配したが、学校の先生が理解を示してくれた。「僕のせいで、ツアーが止まったらどうしようと…。でも、周りが温かく迎えてくれた。試合もやってくれる。戻って来れて幸せです」。

まだ初日を終えたばかりだが、気持ちは前向きだ。「パターも明日以降、長尺でいきます。パターを2本入れて抜いた5番ウッドをまた入れて」。喜びをかみしめ、残り3日もプレーする。【加藤裕一】