アマチュアの馬場咲希(17=日本ウェルネス高)が、予選を通過した日本勢5人の中で唯一、アンダーパーで回り、31位に浮上した。

59位から出て4バーディー、3ボギーの70と1つ伸ばして回り、通算2オーバー、215。175センチの長身から放たれる飛距離を武器に、世界最高峰の舞台で躍動した。首位は13アンダーのミンジ・リー(オーストラリア)。小祝さくらが24位、畑岡奈紗が31位、西郷真央が46位、高木優奈が57位につけた。

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高校2年の馬場が、将来性を感じさせる活躍で、日本勢トップに迫った。メジャーの中でも特にセッティングが難しいとされる、全米女子オープンの決勝で、この日15人しかいないアンダーパー。1番パー5で第3打を50センチにつけ、バーディー発進すると勢いに乗った。16番パー3では、ピンまで20ヤードからチップインバーディー。「すごいハッピー。まさかの『入っちゃった』みたいな感じ」と初々しく笑った。15番に続いて連続で伸ばし、バーディー先行で最終日につなげた。

日本勢のアマチュアで今大会の決勝に進んだのは、14年の橋本千里(最終順位は68位)以来8年ぶりだ。武器は270ヤードにも達するドライバーショット。それでも同組で回った、今季の米ツアーでドライバー平均飛距離3位のパグダンガナン(フィリピン)の豪快なショットに「実際に見たらとんでもない。世界だなと思った」と目を奪われた。「将来ここで戦いたい。もう帰りたくない(笑い)」と連日刺激を受けている。

身長は「10カ月で4ミリ」と、まだ伸びている。一方で58キロと細身。開幕前に練習ラウンドを同組で回った渋野日向子からは「ご飯を頑張って食べようね」と、アドバイスを受けた。プロでは1大会3、4日間続くため、体力をつける意味でも、持ち前の飛距離をさらに伸ばす意味でも必要なことと納得。感謝していた。

長身の「馬場」といえば国民的人気を誇った、2メートル超のプロレスラー、故ジャイアント馬場さんを連想させる。ただ05年生まれの馬場は当然「知りません」。親戚などという話も聞いたことはないという。それでも故人が世界チャンピオンと聞くと「じゃあ、私も見習って」と、笑顔で話すなど愛嬌(あいきょう)を振りまいた。潜在能力は抜群な人気者候補は、最終日も「バーディーをたくさん取りたい」と、存在感を見せるつもりだ。【高田文太】

◆馬場咲希(ばば・さき)2005年(平17)4月25日、東京都生まれ。父哲也さんの影響で5歳からゴルフを始める。日本ウェルネス高では、全国高校選手権で1年時の昨年夏季大会、2年時の今年春季大会でともに3位。17歳の誕生日に行われた、日本での最終予選で4位となり今大会に出場。ドライバー平均飛距離は260~270ヤード。好きな選手は東京五輪金メダルのネリー・コルダ(米国)で今大会の開幕前に「一緒に写真を撮ってもらいました」。家族は両親と姉、妹2人。175センチ、58キロ。

▽73と2つ落とすも日本勢トップの1オーバー、24位の小祝さくら 前半は風吹いていたので難しかった。日本人ギャラリーも多くて、海外って感じがあまりしなかった。今日(第3ラウンド)はハプニングが全然なく、やっと普通に過ごせた。