19年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の開幕まで9月20日で1年となった。ラグビー好きで、三洋電機(現パナソニック)で活躍した父を持つ女優内藤理沙(29)が、元日本代表FBの今泉清氏(51=日刊スポーツ評論家)を“直撃”し、W杯の魅力と観戦のポイントを聞いた。ラグビーに詳しくない人も、「今泉流3カ条」を学べば、熱が高まること間違いなし。【取材・構成=峯岸佑樹、奥山将志】

「ラグビーW杯日本大会は盛り上がるの?」。開幕まで1年となり、内藤は、“聖地”秩父宮ラグビー場近くの英国風パブへ急行した。疑問を解決するために、待っていたのは、95年南アフリカ大会代表の今泉氏。内藤が今泉氏のラグビー教室を見学した今年1月以来の再会を果たし、2人はW杯を熱く語り合った。

内藤 五輪、サッカーW杯と並ぶ世界3大スポーツイベントが1年後に迫っているのに、同世代では日本開催すら知らない人が多い。悔しいし、悲しいです。

今泉氏 確かに、まだW杯の空気感はないかもしれないけど、1年ある。アジア初開催の日本大会は歴史的で、幸せなこと。成功させるためにも、今重要なことは、知らない人にも興味を持ってもらうことだね。

今泉氏は(1)試合の見方を知る(2)好みの選手を探す(3)ボール以外のエリアにも注目するの、「3カ条」を伝授した。

(1)試合の見方を知る

今泉氏 ラグビーは戦闘集団同士の陣取り合戦。ルールは全て覚えようとするのではなく、グラウンド各所でボールを挟んでの格闘技が行われていると思えばいいんだ。その中に決め手がある。スクラムは相撲と同じで間合いがあって組む。こういった見方をしていけば目が離せなくなるよ。

内藤 なるほど。相撲女子は間違いなくはまりますね。2メートル近い選手が当たった時の衝撃音は本当にすごい。私は3年前から家族と一緒にパナソニックや代表戦などを観戦して、父に毎回「何で?」とルールを聞いています。詳しい人が横にいるとラグビーがより身近に感じますね。

今泉氏 最高の親孝行だね。会場のモニターも分かりやすいけど、知っている人と見るのがベスト。他の人もまねした方がいいね。(2)好みの選手を探す

今泉氏 女性はこれが大事かも。選手はポジションによって体格や筋肉の質も違うため好きなタイプはいるはず。ちなみに内藤さんは、誰推し?

内藤 WTBの福岡堅樹選手です。あのスピードは興奮しますね。相手を抜くシーンを見ると「はああ…」となります。

今泉氏 昔の僕と一緒で賢くて足が速い男性は人気があるね。がはは(笑い)。僕は、フランカーの姫野和樹とFBの松島幸太朗だね。姫野はフィールドプレーが見もので、タックル後の切り替えやボールへの絡み方がすごい。どんなデカイ外国選手相手でも、必ず1メートルは前進する。そして、イケメン。松島選手は体幹が強くてタックルされても倒れない。相手をかわしまくる独特のステップは、相撲でいう「いなし」の要素が詰まってるし、一見の価値があるね。

内藤 選手のスーツ姿も格好いいですよね!! スーツを着ても筋骨隆々の肉体が隠しきれず、ベンチ入りせずに、スタンドで観戦している選手にも思わず目がいきます。

(3)ボール以外のエリアにも注目

今泉氏 ラグビーは対戦チームのことを「敵」ではなく、「相手」と言うんだ。相手がいて自分たちも強くなるという考えで、仲間でもある。小柄な選手が大柄な選手にタックルを決めると相手からも「すごいな」と拍手されたり。野球やサッカーにはないコンタクトスポーツだからこそ、尊敬の念がある。試合前の本気の国歌斉唱、試合中の助け合い、試合後の握手の表情まで見てほしい。W杯では4年に1度の熱い人間ドラマが見られるよ。

内藤 私も倒れた選手を相手選手が起こした場面を見て感動しました。こういうシーンは大好き。小さい頃は(元日本代表で三洋電機に在籍した)シナリ・ラトゥの娘さんとグラウンド脇で遊んでばかりで、もっと早くにラグビーの魅力に気づけば良かったと後悔しています。きっと、1年後は大泣きですよ。

世界ランク11位の日本代表は11月に同1位のニュージーランド代表と同4位のイングランド代表とテストマッチを行う。

今泉氏 (目標の)ベスト8入りするためにも優勝経験国を相手に内容のある結果を残してほしい。

内藤 国内での試合は絶対に見ないと損しますね。

2人のラグビー談議は、ビールを片手にどこまでも続いた。

◆今泉清(いまいずみ・きよし)1967年(昭42)9月13日、大分市生まれ。6歳で競技を始める。大分舞鶴高ではフランカー、早大でBKに転向した。独特のステップのプレースキックで人気を集めた。大学4年間で日本選手権優勝1回、大学選手権優勝2回に貢献。ニュージーランド留学後、サントリーへ入社。01年に現役引退後は早大、サントリーフーズでコーチを務めた。日本代表キャップは8。趣味は読書。183センチ。

◆内藤理沙(ないとう・りさ)1989年(平元)1月10日、群馬県生まれ。02年の第8回全日本国民的美少女コンテストに出場。03年にアイドルグループ「美少女クラブ21」に加入。14年にテレビ朝日系ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」に出演。10月から同系ドラマ「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」に鉄道バーの店員役で出演。趣味はラグビー観戦と、ぐんま特使として群馬PR。父は元三洋電機FBの美徳さん。165センチ。

サンウルブズの試合を観戦する内藤理沙
サンウルブズの試合を観戦する内藤理沙
17年12月に都内で行われたラグビー教室に参加する今泉清氏(3列目右)と内藤理沙(1列目中央)ら
17年12月に都内で行われたラグビー教室に参加する今泉清氏(3列目右)と内藤理沙(1列目中央)ら
日本代表の桜のジャージを着て、ボールを手に記念撮影する内藤理沙(左)と今泉清氏(撮影・浅見桂子)
日本代表の桜のジャージを着て、ボールを手に記念撮影する内藤理沙(左)と今泉清氏(撮影・浅見桂子)