ラグビー好きの著名人に魅力を聞くシリーズ第4回は、5人組人気ボーカル・グループ「ゴスペラーズ」のリーダーを務める村上てつや(48)です。幼少期にプレーした思い出、歌手としてラグビーから受けた影響などを語りました。

ラグビー愛を語るゴスペラーズの村上てつや
ラグビー愛を語るゴスペラーズの村上てつや

ラグビーファンの父の影響で小学2年から楕円(だえん)球を追いかけ始めた村上。中学、高校はサッカー部に所属したが、現在もスケジュールが許す限りトップリーグの会場に通うなど、ラグビーへの愛情は変わらない。

村上 魅力は何と言っても迫力。そして、継続して形勢が逆転する中に、肉弾戦とスキルフルなプレーが共存していることですね。5メートル四方の中に20人ぐらいがいるような時もあれば、選手と選手の距離が60メートルぐらい離れている時もある。あの伸縮感は他のスポーツでは味わえない醍醐味(だいごみ)だと思います。

新日鉄釜石、平尾誠二に憧れた幼少期。当時の記憶の中には、その後の人生観にも影響を与えた、忘れられないタックルがあるという。

村上 当時、自分たちは芝生のグラウンドで練習していたんですが、ある日、土のグラウンドで試合があったんです。タックルしたくないなあと思っていたら、ギリギリ届くタイミングでそういう場面がきた。一応、追いかけるんですけど、うそなんですよ(笑い)。最後はトライを取られる直前に諦めなかった的なアリバイタックルです。そしたら、監督が「村上、よく粘った」って。その時ですね。自分の中で「こんな恥ずかしいことはない」「これが一番やっちゃいけないことだ」って(笑い)。このプレーは僕の人間形成に大きな影響を与えましたね。

早大在学中に「ゴスペラーズ」を結成。ヒット曲を出すまではスポーツとも距離ができたが、下積み時代にも、ラグビーから受けた影響は少なくなかった。

村上 平尾さんの本を読んで「チームは真のリーダーだけでは動かない。瞬間、瞬間でイメージリーダーが必要だ」という言葉に出会ったんです。リーダーはリスクを取るが、イメージリーダーはノーリスクで良い。自分もプレーヤーでありながら、どうやってみんなをまとめるのかに悩んでいる時で、グループで音楽をやることに対してすごく楽になりました。押さえつけるのではなく、遊ばせてなんぼ、独創的でなんぼなんだって。周りに言いたいことを言わせて、そいつが見ている景色を自分もまず見てみる。そこまではやらないとリーダーはできないということを、平尾さんの言葉から学びました。

日本開催のワールドカップ(W杯)。ラグビーに影響を受けてきたからこそ、多くの人にその魅力を知って欲しいと願う。

村上 見て欲しいのは、あれだけ激しいプレーをしているのに、レフェリーと相手をリスペクトし、小競り合いが起きないところ。本当はカッカしているけど、レフェリー、主将の言うことを聞く。あのメンタルのあり方は観戦していて自分自身も襟を正せるし、本当に見ていて気持ちがいいです。日本代表の選手の方は開催国というプレッシャーを感じると思いますが、それを良い意味で味わいつつ、前回大会の1つ先の景色を見せて欲しいですね。

◆今年メジャーデビュー25周年を迎えるゴスペラーズ初のトリビュートアルバム「BOYS meet HARMONY」が好評発売中だ。6月19日には、昨年のツアーの模様を映像化したBlu-ray&DVD「What The World Needs NOW」もリリース。ヒット曲「永遠(とわ)に」「ひとり」なども収録されており、注目を集めている。