スポーツ法政 on the WEB

HOME記事一覧速報掲示板広告主募集定期購読スポ法とは
ホームアメフトホーム01'プレーオフ
 2001年リーグ戦ヘ
第56回 毎日甲子園ボウル・関西学院大戦
 クラッシュボウル準決勝・専大戦  クラッシュボウル決勝・日体大戦
関東大学1部Aリーグ対戦表(最終結果)

第56回毎日甲子園ボウル 連覇ならず
関学大の厚い壁の前に屈する

SCORE
チーム1Q2Q3Q4Q
法 大
関学大1428
      
STATS
関学大法大
18FD13
65-358総獲得ヤード
(回数-ヤード)
73-230
52-268ラン
(回数-ヤード)
42-131
90パスヤード99
 13-7-2 (試投-
成功-INT)
31-10-2
9-70反則7-25
0-0ファンブル
(回数-喪失)
1-0
29:26ボール
所有時間
30:34
5/143rd down
conversion
3/17
1/24th down
conversion
1/3
 甲子園の空に青い歓声がこだまする中、4人の幹部たちは涙をこらえ整然と並んだ。
 後藤のオンサイドキックを関学大が抑え、ゲームの趨勢は決した。しかしベンチの4年生達はチームをひたすら鼓舞していた。フィールドでは最後まで決して弱さを見せなかった。自分達がこのチームですごした4年間、自分たちの作り上げてきたチームへの誇り、それは言葉では伝えきれない物、そして4年間の全てをこのときの為にすごした彼等にしかわかり得ないものであり、今この時にしか伝えることのできない、とても大事なことなのだろう。
 表彰が終わり、金鋪マネージャーは控え室の前で選手達を迎えていた。その姿は毅然とし、いつもと変わらない笑顔だった。最後に入るハワイ大コーチの言葉に、こらえきれず熱いものがこぼれる。チームが一丸となって、同じ感情を共有し、同じ目標に向かうことができたこと、本当に最高のチームだったことをその涙は教えてくれた。
 この悔しさを後輩達は胸に焼き付けて必ずこの舞台に帰って来る。

戦況


1Q


ゲームは関学大が後半のレシーブを選択し、法大のレシーブで始まる。関学大は法大オフェンスに対し3−4ディフェンスをしき、DL、LB一体となってラン攻撃を止めに来る。関学大の速いランへのリアクションに、法大の最初の攻撃はパントに追い込まれる。向かい風が強い中のキックはこの日パンターを務める井芹にとっては酷だった。滞空時間の長い井芹のキックは風邪にあおられ、飛距離が出ない。
 関学大の最初のドライブは昨年同様、タイミングをずらしたRB陣のランを軸に攻めあがる。2つのFDで陣をつめ、法大陣25Yからの1st and 10、中央へ二人のRBをフェイクで走らせ、関学大のQB尾崎が右ブーツレッグのキーププレーで独走を見せる。フェイクで左に寄せられた法大DB陣を尻目に尾崎はそのままエンドゾーンへ入りTD。関学大が先制を奪う。
 先制を奪った関学大に対し、法大のランは、関学大LB陣の速いリアクションにいつもの爆発力を封じられる。法大の生命線とも言えるUB白木のダイブは序盤から距離がとれない。3−4を敷く関学大ディフェンスは、法大のお家芸オプションを逆手に取るかのようだった。法大は地道なゲインから、長いドライブでFDは積み重ねるが、スコアリングゾーンまで至らないままパントに追い込まれる場面が続く。オフェンスが苦しむ状況、リーグ戦でも見せたように、ここでディフェンス陣が大きくモメンタムを引き寄せるビッグプレーを演出する。尾崎のパスを、SF水上がインターセプト。リーグ戦からの課題となっていたパスディフェンスが、最高の舞台で最高のパフォーマンスを見せてくれた。このモメンタムをつなげたい法大オフェンス陣はTBを使ったオープン攻撃に活路を見出そうとするが、関学DB陣の早いアクションにFDを奪えず相手に攻撃権を受け渡す。

2Q


2Qに入り、この試合はじめてのミドルパスを尾崎に決められた直後、即座にオープンサイドを三井に走られ、TDを奪われる。三井のスピードにDE野村、SF水上もついて行けなかった。
 どうしても一本欲しい状況、しかし法大はいまだ攻めあぐねていた。思い通りに行かない我慢のオフェンスが続く。対する関学大オフェンス陣は多彩な攻撃を繰り広げ、法大エンドゾーン付近に再び迫る。残り1y。ここでのTDは致命傷となることは、皆がわかっていた。この場面で法大ディフェンス陣は執念を見せる。3本続けて関学のダイブプレーを阻止。この一本で勝負をつけたい関学大はギャンブルを選択。ラインがぶつかる。タイミングをずらした尾崎のオープンへのダイブが突き刺さった。法大のスピードと執念を逆手にとるようなプレーで3本差にまでリードを広げられてしまった。 2本差で前半を終え、昨年同様、後半勝負に持ちこみたい法大はここから、桑野のパス攻撃を展開する。相手陣まで攻め入るが、最後はエンドゾーンに投げ込んだディープパスを関学大DB田尻にインターセプトされ、得点できない。前半を0−21と、苦しい状況のまま終える。

3Q


 3Q、オフェンスは漸くきっかけをつかむ。QB桑野のキーププレーが関学大ディフェンスを切り裂き始めた。オプションのプレーセレクトを見てから動く関学大LB陣も桑野のキーププレーには戸惑いを見せる。中央のダイブはここまで本来のDLではなくLBに入った、関学大石田の前に止められていた。しかし桑野のキープと、TBへのピッチには、相手も対処しきれなかった。攻撃がかみ合い、この日初めて法大は決定機をつかむ。エンドゾーンまで残り4yの1stダウン。まずはTB中島に持たせ、残り2y。続いての白木のダイブで残り1y。大事な場面だけにハドルに時間を取りすぎたのか、ここで法大はタイムアウトをとる。続くプレーは3バックからのオフガードをねらいRB小沼に持たせるが、またもやLBに入った関学大石田にランコースをふさがれ、1yのロスタックルを食らう。そして4thダウンギャンブル、残り2ヤード。桑野が持たせたのは中島、ラインがぶつかり、そこを中島がダイブを狙うが、ここでも石田に阻まれ、最高の好機を法大は逸する。しかし、法大は攻撃のきっかけとなる何かを取り戻しつつあった。まだ勝利への火は消えていない。直後の関学大の攻撃をパントで退け、法大の攻撃。オプションのリズムが整い、TB伊藤のランが決まる。続く攻撃、山岸に出した桑野のパス。山岸は拾おうという執念からボールをすくいあげるが、それが裏目に出る。関学大のLB星田がそのボールをつかみ、インターセプト。攻撃のリズムがかみ合ってきた中でのターンオーバーは法大にとって相当痛かった。関学大は法大陣でのターンオーバーを生かし、FGを決める。0−24。3TDと2ポイントのTFPが3本で同点。決して無理ではないが、法大はついに追い込まれた。

4Q


最初の攻撃をパントで終えた法大。ディフェンス陣も奇跡の逆転に向け踏ん張りを見せ、関学大攻撃をパントで退ける。続く攻撃も3本でFDを取れず、後藤がFGを狙う。しかしボールはわずかに右に外れ、スコアリングの好機をまたもや逸する。
 しかし再び、ディフェンスの好プレーが、法大にモメンタムを引き寄せる。尾崎のパスを、CB川畑がインターセプト。リーグ戦でわずか1つのインターセプトしか許さなかった尾崎から、法大はこの試合で2本のインターセプトを奪う。しかしオフェンス陣の不用意なペナルティーでFDを取れず、せっかくのディフェンス陣が作ったモメンタムを活かせない。FGのフェイクからパントを蹴り好位置からのディフェンスを狙うが、ボールは風に乗りエンドゾーンへ、タッチバックとなり再び攻撃権は関学大へ移る。しかし法大ディフェンス陣は最後まで魅せてくれた。関学大のパントをSF塚野裕がチャージ。鷲井がエンドゾーンぎりぎりのところで抑え、絶好の位置で法大は再び攻撃権を握る。
 残り1yでの1stダウン。桑野は中島に持たせるも、ノーゲイン。ダイブでの5度のトライから切り替えてTE日田へのパスを投じるも関学のカットにインコンプリート。続くサードダウンは6度のトライで一度も出していなかった桑野のキープ。しかし無情にもエンドゾーンに届かない。そして最後の4thダウンギャンブル。この試合のこれまでのこの場面と同様、3バックに構えた法大オフェンス。桑野が選択したのはRB中島へのピッチだった。法大の特徴、スピードを生かした攻撃に、タイトに構えた関学大ディフェンスも追いつけず、中島の執念が、エンドゾーンに突き刺さった。TFPは当然2ポイントを狙ったが、後半の軸となっていた桑野のキープも決まらず失敗に終わる。6−24、残り2分54秒、まだ奇跡の可能性は0ではない。法大は続くキックオフ、当然オンサイドを狙った。しかし後藤のキックは惜しくも関学大レシーバーの胸に収まる。この瞬間ほぼ勝負は決した。関学大は時間を要したプレーに徹すればほぼ勝利は決まる。関学大は尾崎が退き勝利を確信したように、4年生中心に布陣を組む。しかし法大は最後まで全力を尽くした。エンドゾーン付近での攻撃を止め、再び攻撃権を物にした。最後の攻撃に臨む法大。しかし時計は無常にも0を刻んだ。

各賞受賞者

ミルズ杯(年間最優秀選手)関学大尾崎陽介(3年)
甲子園ボウルMVP関学大石田力哉(4年)
甲子園ボウル敢闘賞法大桑野智行(3年)

コメント

大森監督 「途中からオフェンスの歯車が狂い始めた。ディフェンスはがんばってくれた。」

青木助監督 「ディフェンスは十分やってくれた。オフェンスは全然だめ、もう一度立て直して、必ず来年はここに帰ってくる。」

井川学生コーチ 「残念だった。負けるというのはやはり悔しい。今年のチームはとても仲が良くてうらやましかった。昨年とは雰囲気も違う。去年の自分たちのチーム甲子園で大敗してはじまったチーム。執念があった。そういう部分で負けたとは言いたくないが、少なくとも負けて始まったチームと勝って始まったチームでは気持ちの部分で全然違うと思う。来年のチームはこの悔しさを忘れずがんばって欲しい。」

小林主将 「互角には戦えた。ミスが出て点を取られた。関学のOLはビデオで見た異常ではなかった。点を取れなかったのはウチのオフェンスの力が無いこと。4年生は最後の試合はグラウンドで死のうと話していた。最後は時計が0になるまで死ぬ思いでプレーして、来年に残せるようなプレーがしたかった。」

白木副将 「やることはやった。そういう部分では悔いはないが、負けたことは本当に悔しい。関学が強いとかではなく、自分たちのプレーができなかった。むこうが自分の攻撃をケアしていたので、同じチームの仲間を信頼してプレーできた。前半はゲームプラン通りプレーできていたが途中から狂い始めた。OFは4年生が少ないチームで自分が頼りなかったことが申し訳ない。3年生主体のチームだからこの悔しさを来年出してもらいたい。桂一(小林主将)が最高のチームを作ってくれた。最高のチームにはなれたが、最強のチームにはなれなかった。」

QB桑野選手 「関学の方が気持ちで勝っていた。甲子園ではパスは数を投げないと勝てないと思って投げた。試合を通して、自分の実力の無さが出てしまった。いつもどおりのプレーをしようとしてある程度はできたが関学が力を出させてくれなかった。自分たちを相当に研究してきて強かった。関学にプレッシャーを感じた。気負いはなかった。いい精神状態でできたと思う。3年でQBで出て、甲子園で勝つことの難しさを体感できた。QBはミスをしても自分が率先してリーダーシップを取っていかなくてはならない。自分に自信がないことでチームを4年生と同じ気持ちで引っ張って行けたかと思うと自信が無い。UBのダイブが止められたことは予想通りの展開だった。関学はオプションを止めるディフェンスの組織力、個々の能力も高かった。アサインメントである程度ヤードが出るプレーでもマンパワーで負けて、ヤードが取れなかった。負けたら何にも残らないこと。甲子園で勝つということの難しさを痛いほど感じた。そればかりが残った。勝ちたいという気持ちを持ちつづけて絶対に来年ここまで勝ちつづけて勝ちたい。」

RB中島選手(4QのTDを決めた) 「去年はケガでチームの力になれなくて、今年はチームの力になりたいと思っていたから申し訳無い気持ちでいっぱい。TDはオフェンスラインの開けてくれたところを自分が行っただけ。本当にみんなに感謝している。みんなの力で取れたTD。自分のちからじゃない。TBとして自分の仕事ができなかったことに悔いが残る。関学は迫力があった。ゴール前で歯をくいしばっていた。それを自分が上回れなかった。自分の努力が報われなかったことに悔いが残る。桑野には負担をかけ過ぎて力を出させてあげられなかった。来年は桑野に自分の無念を晴らして欲しい。そしてのびのびと自分の力を出して欲しい。」

LB塚野啓介選手 「ディフェンスとして悔いは無い。全部出し切れた。4TDに抑える目標は達成できたが目標とかよりも問題は勝ち負け。関学はパワー、キャリアーのスピード完全に圧倒された。チーム力、個々の力、どこをとっても優れていた。今年のチームはチーム一丸でやろうと言う目標でやってきた。そういう意味では目標が達成できていいチームだった。もともと、センターの攻撃を完全に止めて、オープンに誘うプランだった。それでもオープンを決められたのは自分たちのコミュニケーション不足だったと思う。関学はウチの裏をかくプレーをしてきた。」

K後藤選手 「関学は強かった。風対策は準備していた。(FGを外した場面で)直前で足がつっていたことは気にならなかった。オンサイドキックは蹴った瞬間行けると思うぐらい良い感触で蹴れた。自分が抜けても1年の井芹、柴田はすごくいいキッカー。全然心配無い。いろんな人の支えが合ってここまで4年間やってこれたと思う。みんなにとても感謝している。」

DL西川選手 「関学は本当に強かった。負けてしまったので手応えも何も無いです。完全にボコボコにされてしまった。この悔しさを来年につなげて全ての面でしっかりしたチームを作りたい。」


得点経過
チーム QTR 時間 プレイ プレイヤー ヤード TFP 成否 得点
関学大 4:42 RUSH #16尾崎 25 7-0
関学大 1:56 RUSH #2 三井 14 14-0
関学大 9:55 RUSH #16尾崎 21-0
関学大 14:08 FG #11井田 32 24-0
法 大 12:06 RUSH #29中島 NG 24-6

スターター

オフェンス
ポジション番号名前・学部学年
TE87日田 裕之(法3)
LT76森山 誉将(営4)
LG66鈴木 智也(営3)
70山口 孝文(経3)
RG55工藤 大輔(営3)
RT77宮内 武一(文3)
WR山岸 康一郎(営4)
QB17桑野 智行(営3)
UB36白木 周作(文4)
TB29中島 賢治(経4)
SE25久米 康二郎(工3)
10後藤 大地(経4)
      
ディフェンス
ポジション番号名前・学部学年
DE97小林 桂一(法4)
DT78西川 岳志(文3)
DT58會沢 俊太(文2)
DE94園田 林太郎(営4)
LB43塚野 啓介(営4)
LB42中井 勇介(法2)
LB57鷲井 秀剛(法3)
CB26川畑 勉(法3)
CB27内田 亮(文4)
SF45塚野 裕介(法4)
SF37水上 由貴(文3)
10後藤 大地(経4)

12月16日 毎日甲子園ボウル
13時キックオフ! 当日0時20分よりTBS系で放送

 雨中の勝利から1年。チーム史上初の連覇にむけて、甲子園に臨む法大トマホークス。いよいよ12月16日決戦を迎える。

 <オフェンス注目点>

 法大オフェンスの注目はなんと言っても伝統のRB陣。「スター選手がいないチーム」と大森監督は語るが、関東リーディングラッシャーを獲得し,バイスキャプテンを務めるUB白木周作(#36・文4)はオフェンスの核を担い、スピード、テクニックは学生界でも屈指の実力を誇る。わかっていても止められないのが白木のラン。攻撃の中心となることは間違い無い。そして、今年のRB陣は白木にとどまらない、豊富な人材を誇るTB陣こそが、今年のチームの看板とも言えよう。新人ながらリーグ戦で大活躍を見せた伊藤喜章(#39・法1)、法政二高野球部出身の経歴を持ち、大きな体で力強い走りを見せる中島賢治(#29・経4)、大森監督からの期待も厚く、巧みなステップを見せてくる長村英明(#2・法3)等、それぞれに特徴を持ち、攻撃のバリエーションは無数に広がる。白木へのマークが予想される甲子園ではTBの活躍がより一層期待される。
 そして、2連覇の鍵を握るのはなんと言ってもQB桑野智行(#17・営3)である。桑野の大きな特徴は足。キーププレーのうまさ、スピードはリーグ戦でも存分に見せてくれた。看板のRB陣と共に、ランプレーに関しては問題無いといえるだろう。桑野にとって課題となるのはパスである。リーグ戦でこそ課題を残したが、プレーオフ決勝では克服したかに見えた。レシーバーとしてはWR山岸康一郎(#9・営4)TE日田裕之(#87・法3)との連携が鍵となる。昨年もそうであったように、関東では全てを出し切らずとも勝てる法大は、甲子園でこれまで見せなかった様々なバリエーションの攻撃を見せてくれる。桑野のパスに関しても、甲子園では大きく化ける可能性を充分に秘める。看板のランプレーを生かすためにも桑野のパスは重要となる。
 OLは伝統のスピードが今年も健在。3年生中心の布陣をまとめるのはG森山誉将(#76・営4)。主力のほとんどが法政二高出身で、連携にも不安は無い。サイズでこそ多少の不安はあるが、スピードに関しては絶対に負けない。

 <ディフェンス注目点>

 今季のディフェンスの看板はDL陣。学生界最強と言っても過言ではないであろう。ランプレーに対しては絶対の強さを誇る。リーグ当初はオープン攻撃に不安を残したが、完全に克服した。DL陣を率いるのは、主将を務める小林桂一(#97・法4)。昨年も甲子園に出場した経験を持ち、力強さ、スピード、テクニック、どれをとってもスキは無い。西川岳志(#78・文3)に関しては言うまでも無く、凄い。クラッシュボウル決勝では相手OLとの体重差を全く問題とせず、パスブロック、ロスタックルを連発した。エースRB三井の不調が言われる関学大にとって、法大DL陣は確実に脅威となる。
 LB陣は、昨年から志賀、平本の両エースこそ抜けたが、決して力が落ちた感は無い。関東MVPを獲得した塚野啓介(#43・営4)ら、リアクションの速さ、当たりの強さは全く不安を感じさせない。人材の豊富さも特徴のひとつだ。中井勇介(#42・法2)、鷲井秀剛(#57・法3)の両スターターそして、プレーオフでビッグプレーを連発した一年生の二上雄介(#47・営1)、小菅達矢(#41・社3)も健在だ。LB陣に不安は無い。
 甲子園で鍵を握るのがパスディフェンスだ。関学大のQB尾崎のパスは相当にうまい。レシーバーも昨年のスターター榊原、東畠、山本を残し、法大にとって、相当警戒が必要となる。DBにとっては厄介な相手となりそうだ。DB陣はSF塚野裕介(#45・法4)を中心とする。リーグ戦からパスディフェンスに不安を残していたこともあり、プレーオフ後2週間での調整がもっとも必要となる。DL、LB陣でできるだけプレッシャーをかけることで、DB陣への負担を軽減したい。今季の法大は、ディフェンスからモメンタムを作ってきた。ランプレーに対しては絶対の自信を誇るディフェンス陣。パスディフェンス成功の効果は計り知れないだけに、パス対策を万全にし、モメンタムをがっちり引き寄せて欲しい。

 <総評>

昨年のチーム同様、プレーオフ終了後はハワイ大からコーチを招き、チームを最終調整する。オフェンス、ディフェンスともこの2週間での成長が鍵を握る。昨年のチームは大きな成長を遂げ、見事悲願を達成した。「ウチがここまで来るのは当たり前。今年は初めから関学大が来ることしか想定していなかった。」(青木助監督)と関学大に対する対策は万全。対する関学大は、いまだ全てを出し切らない法大を相手にしなくてはならない。これまでやってきた全てを出し切れば連覇の可能性は十二分にある。

スポ法が選ぶ注目選手


TE

87

日田裕之

(法3)

非凡なレシーブ能力を持ち、桑野のパスターゲットと
して注目!

TB

29

中島賢治

(経4)

高い運動能力を誇り、スピードに加えた力強い走りに
期待!

LB

57

鷲井秀剛

(法3)

センスあふれるタックルとリアクションは相手の脅威
となること間違い無し。

K/P

10

後藤大地

(経4)

安定感抜群の、アメフトはあまり好きではない天才
キッカー。

予想スターター

オフェンス
ポジション番号名前・学部学年
TE87日田 裕之(法3)
LT76森山 誉将(営4)
LG66鈴木 智也(営3)
70山口 孝文(経3)
RG55工藤 大輔(営3)
RT77宮内 武一(文3)
WR山岸 康一郎(営4)
QB17桑野 智行(営3)
UB36白木 周作(文4)
TB29中島 賢治(経4)
SE25久米 康二郎(工3)
10後藤 大地(経4)
      
ディフェンス
ポジション番号名前・学部学年
DE97小林 桂一(法4)
DT78西川 岳志(文3)
DT58會沢 俊太(文2)
DE94園田 林太郎(営4)
LB43塚野 啓介(営4)
LB42中井 勇介(法2)
LB57鷲井 秀剛(法3)
CB26川畑 勉(法3)
CB27内田 亮(文4)
SF45塚野 裕介(法4)
SF37水上 由貴(文3)
10後藤 大地(経4)


孤高の戦斧 ついに決戦の舞台へ!
学生日本一をかけて 12月16日甲子園ボウル

SCORE
チーム1Q2Q3Q4Q
法 大1314151355
日体大142842
      
スターター
OF
TE87日田
LT76森山
LG66鈴木
70山口
RG55工藤
RT77宮内
WR山岸
QB17桑野
UB36白木
TB29中島
SE25久米
10後藤
DF
DE97小林
DT78西川
DT59久保木
DE94園田
LB43塚野
LB42中井
LB57鷲井
CB26川畑
CB27内田
SF45塚野
SF37水上
10後藤
 孤高の戦斧がついに8年連続の栄冠を手にした。まさに圧倒だった。スコアこそ僅差だが、実力の差は誰が見ても明らかだった。関東代表は法政しかいない。2年連続の学生日本一にむけて、ここからが本当の勝負になる。  法大のレシーブで始まった試合。最初のシリーズこそパントで終えるが、すぐさま法大が先制点を奪う。QB桑野(営3)が得意の足を生かした17y独走のTDを挙げる。序盤、日体大のQB中村のパスが乱れ、SF水上(文3)がインターセプト。モメンタムを完全に物にした法大が、このチャンスをいかし、立て続けにRB伊藤がTDを奪いリードを広げる。1Q終了直前にもSF塚野裕(法4)がインターセプト。日体大の重量OLを相手にライン戦を制した法大DLの猛ラッシュに日体大は序盤攻めてを欠く。2Qに入り、中村もパスのリズムを掴み出し、1TDを返す。直後のキックでリターナーのエースRB白木(文4)がケガで退くと言うハプニングもあったが、代わって入った小沼(工2)がブラスト、レシーバーと大活躍。難なく桑野のランで追加点を奪い、選手層の厚さを感じさせる。中村の64yパスで日体大も1TD差にせまり追いすがるが、法大は白木も戻り、桑野の パスでTDを奪い2本差に広げる。前半終了直前日体大はFGを狙うが、SF塚野裕が後方からの猛烈なラッシュでブロック。27−14、法大リードで前半を折り返す。
 後半に入ると法大は、TBと、パスを中心に攻撃を展開。立て続けにTDを奪いリードを広げる。DFではDL西川がブロック、ロスタックルを連発。日体大を圧倒する。4Qからは前年同様2本目を出す余裕さえ見せた法大。終盤こそ立て続けに中村にパスを決められ、詰め寄られたが、危なげない戦いで、甲子園出場を決めた。
 これまで多くの不安を残してきた法大だったが、この試合ではその不安を一掃してくれる戦い振りを見せてくれた。甲子園までの2週間。この期間に昨年のチームは大きな変貌を遂げた。ハワイ大のビーバーコーチ等が来日し、これからの2週間で法大はチームを完成させる。結局法大は全てを出し切らぬまま関東を制した感がある。「もともと相手は関学しか頭に無かった。今年の関学はかなり強い。」(青木助監督)と関学大へのスカウティングは進んでいる一方、圧倒的な関学大の強さに戸惑いもある。2連覇を目指す法大。甲子園ではどういう戦いをみせてくれるのだろうか。

コメント

大森監督 「年々プレッシャーが増してきていて、その中で勝てたことはうれしい。小林が良くチームを引っ張ってきてくれた。スーパースターがいない中チームワークで戦ってきた。今日のゲームは点の取り合いになることは予想していなかった。少差の緊迫したゲームで苦戦すると思っていた。ディフェンスがプレーオフから自分たちの力を出し切れるようになってきた。パスディフェンスに関しては不安はあったが、ランについては止められる自信があった。オフェンスは白木のマークは予定に入っていた。
 八連覇は、日大とは時代が違う。日大は関東を盛り上げてくれた。ウチは一戦一戦勝ってきただけ。
 関学は強い。尾崎君はランパスともに素晴らしい。あくまでチャレンジャーとして胸を借りるつもりで戦う。」

小林主将 「去年と今年は別物。去年のチームはスターがいて、ビックプレーでモメンタムをつくった。今年のチームは全員で攻めのフットボールをして、モメンタムを持ってくるという戦い方。そのために今年は練習から全員で一丸となって戦ってきた。関学は個々の能力についてはウチ負けている。勝つためには少ないチャンスを物にしないと勝てない。同じ学生だから強気で臨みたい。悔いの残らないように思いきりぶつけたい。」


得点経過
チーム QTR 時間 プレイ プレイヤー ヤード TFP 成否 得点
法 大 4:35 RUSH #17桑野 35 7-0
法 大 6:52 RUSH #39伊藤 64 NG 13-0
日体大 6:40 RUSH #4 千葉 13-7
法 大 10:57 RUSH #17桑野 20-7
日体大 12:10 PASS #17中村→#20上妻 64 20-14
法 大 13:47 PASS #17桑野→#25久米 29 27-14
法 大 8:07 PASS #17桑野→#9 山岸 20 35-14
法 大 11:46 PASS #17桑野→#87日田 13 42-14
法 大 4:28 RUSH #39伊藤 12 NG 48-14
日体大 5:43 RUSH #23青木 48-21
日体大 10:07 PASS #17中村→#21井本 48-28
法 大 12:12 RUSH #39伊藤 35 55-28
日体大 14:02 PASS #17中村→#81照本 19 55-35
日体大 14:29 PASS #17中村→#85米山 38 55-42


専大に勝利も課題多く残す
12月2日 関東8連覇をかけて日体大と対戦

SCORE
チーム1Q2Q3Q4Q
法 大1436
専 大13
      
スターター
OF
TE87日田
LT76森山
LG66鈴木
70山口
RG55工藤
RT77宮内
WR山岸
QB17桑野
UB36白木
TB29中島
SE25久米
10後藤
DF
DE97小林
DT78西川
DT58会澤
DE94園田
LB43塚野
LB42中井
LB57鷲井
CB26川畑
CB27内田
SF45塚野
SF37水上
10後藤
プレーオフ対戦表
 リーグ戦を全勝で突破、関東八連覇へ向けていよいよプレーオフに臨む法大トマホークス。準決勝の相手は専大。春季オープン戦でこそ法大が大勝を収めたが、スピードを武器とし、今季はQB佐藤、WR清水のパスアタックが猛威を発揮している伝統校である。
 試合は開始早々大きく動く。専大のレシーブで始まった試合、キッカー後藤の蹴ったボールを、専大・清水がレシーブ。そこに法大陣が猛烈に襲い掛かり、清水が負傷。専大は、WR兼RBのエース清水を欠いたゲームを強いられる。
 先制は法大。お家芸のオプションで、エンドゾーン付近まで詰めより、最後は白木(文4)がTD。法大OLが、相手DLを圧倒し、オフェンスは完全にゲームの主導権を握った。その後も2TDを重ね、一方的な試合展開になるかと思われたが、2Q終了直前、後藤のパントを専大がブロック、そのまま廣田に持ち込まれ、ミスから失点を喫し、前半を21−7で終える。
 後半開始早々、再び白木が独走のTDを奪うが、直後のTFPを再び専大がブロック、立て続けのキッキングのミスに今後に不安を残す。後半の法大は、ディープゾーンへのパスや、リーグ戦ではあまり見せなかったTEを使ったパスプレー、WRのリバース等多様なプレーを繰り出すが、思うように決まらない。特に今後の鍵ともなる桑野のパスは、試合を通して、5/15、28yと、不安を残した。4Qに入り、法大のミスも重なり専大にモメンタムを持っていかれかけたが、最後は長村のTDでゲームを締めた。
 シーズンも佳境に入り、チームを完成段階に近づけていかなくてはならない時期だが、この試合では不安を露呈した形となった。しかし、今年のチームは、明大戦から中大戦までの3週間のように短期間でチームを立て直す強さを持つ。決勝の相手は確実に昨年から力を増した日体大。決して楽に勝てる相手ではない。甲子園連覇という目標にむけて、ここからが本当の勝負になる。

[昨年のクラッシュボウル決勝 日体大戦]

コメント

大森監督 「専修が色々やってくることは予想していた。こっちがオフェンスではめるつもりが、むしろあっちのディフェンスにはまった。桑野も仕掛けられるつもりが、むしろ仕掛けられている感じ。専修はDF良かった。反省材料はいっぱいある。色々OFは用意してきたのに全然出し切れなかった。もう一度立て直さないといけない。
 日体大はランパスともいいチーム。去年のリベンジで出てくるから、相当苦しい試合をさせられると思う。」


得点経過
チーム QTR 時間 プレイ プレイヤー ヤード TFP G/ NG 得点経過
法 大 4:10 RUSH #36白木 7−0
法 大 11:02 RUSH #32小沼 14−0
法 大 5:41 RUSH #36白木 32 21−0
専 大 11:30 PRTD #44廣田 21−7
法 大 9:19 RUSH #36白木 24 27−7
法 大 1:39 FG #10後藤 43 30−7
専 大 4:57 RUSH #20後藤 20 NG 30−13
法 大 11:05 RUSH #2長村 NG 36−13


    [2003年秋のアメフト記事へ] [2003年春のアメフト記事へ] [2002年のアメフト記事へ] [2001年のアメフト記事へ]   
HOME記事一覧速報掲示板広告主募集定期購読スポ法とは ▲ページトップへ