<高校野球青森大会:青森山田11-0南部工>◇13日◇2回戦◇八戸長根公園球場

 再出発の夏を迎えた青森山田が、コールド勝ち発進した。

 青森山田が9カ月ぶりの公式戦を迎えた。昨年10月の秋季東北大会準決勝で聖光学院(福島)に2-6で敗れて以来。同12月の部員死亡事件で今年4月中旬まで練習も自粛し、春季大会も辞退し実戦から離れていた。序盤やや硬さがあったが、打線が14安打、3投手で計3安打完封、守備は無失策と実力を発揮した。

 ナインは全員、亡き部員のため喪章をつけた。前日(12日)、青森山田学園の木村雅大副理事長が全員に手渡した。規定でユニホームの外側にはできないため、胸の内側に縫いつけた。「心は今も一緒」の意味という。寮内の一角には遺影が飾られ、毎朝部員が掃除した上で水や花をあげ、手を合わせている。

 いろいろな意味で注目を集めた初戦。岩田諭志主将(3年=二塁手)は「緊張して、みんないつも通りの声が出ていなかった。みんなで盛り上げ、守りからリズムをつかむ自分たちの野球を次はぶつけたい」。3回戦の相手、光星学院戦へ向けて引き締めた。

 グラウンド整備をレギュラーも手伝うなど、試合ができることへの感謝を表した。先発し3回を無安打無失点に抑えた左腕エース三木彰雅(3年)は「自分の持っている力は全部出し切りたい。でも1人の力でなく、みんなの力で勝つのが青森山田の野球です」と力を込めた。【北村宏平】