現地6日、マリナーズからFAになっていた岩隈久志投手がドジャースと契約合意に至ったと現地メディアが一斉に報じた。その翌日にはさらにレッズからトレードで抑えの左腕アロルディス・チャプマン投手をトレードで獲得することにも合意している。

 この迅速な投手陣補強の動きに対し、スポーツ専門局ESPNの電子版などは「ドジャースがチャプマンとイワクマを補強する手堅い動き」などと報じた。27歳で160キロを超える剛速球を投げ、2012年から4年連続で30セーブ以上をマークしているチャプマンと通算防御率3・17で、ゴロにとる比率が50%、三振と四球の比率が4対1以上の実績を持つ岩隈を獲得するのは手堅い動きというのである。

 今回、岩隈は3年4500万ドルという大型契約を得た模様だ。来年の4月に35歳となる岩隈に対して平均1500万ドルという複数年契約はチームが高い評価をした証しといえるだろう。

 が、アメリカのメディアではそれでも”低年俸”といった報道が目立つ。それはドジャースが岩隈を獲得するに至ったのは、FAとなっていたザック・グリンキー投手との再契約に失敗したため、という認識があるためだ。グリンキーは2009年にロイヤルズでサイ・ヤング賞に輝き、今シーズンも19勝を挙げ、両リーグを通じてトップの防御率1・66を記録したMLBを代表する先発投手である。今回6年総額2億650万ドルでダイヤモンドバックスと契約に合意したと伝えられている。

 そのグリンキーと比べれば、今年ノーヒットノーランという快挙を達成した岩隈であってもかすむというのだ。実際、地元紙ロサンゼルス・タイムズは「ヒサシ・イワクマ、ドジャースが控えめな値段でローテーション入り選手を発見」という記事を掲載している。その冒頭で「イワクマはザック・グリンキーの代わりではない。オールスター・ゲームで先発することは望めないし、19勝3勝、さらに20年でMLB最低の失点率も望めない」と非常に厳しい表現をしているほどだ。

 スポーツ・サイト、SBネーションも同様に「ドジャースがヒサシ・イワクマをザック・グリンキーの代わりに。彼はザック・グリンキーではない」という記事を掲載している。ただどのメディアも岩隈にけがが多いことを懸念材料に挙げつつも、先発の2番手になるであろう実力を持つ投手であるとの評価もしていた。

 グリンキーの後釜という位置づけ故、厳しく見える表現をされてしまった岩隈だが、それだけ期待されているといえるだろう。