メッツ、ブルージェイズ、ヤンキースなどで活躍した元メジャーリーガーで野球評論家の五十嵐亮太さん(47)が、ドジャース大谷翔平投手(31)のサイ・ヤング賞獲得に太鼓判を押した。1日、東京・渋谷で伊藤園「お~いお茶」の昨季全本塁打を描いた新ボトル展示イベントに登場。「狙っても簡単に取れる賞ではないが、今の彼の投球は、狙って取れるのかなと思わせる。本気度が上がれば、彼に達成できないものはないのかなと、見ていて感じる」と話した。
サイ・ヤング賞はメジャーリーグの最優秀投手に与えられる賞で、これまで日本人の獲得者はいない。13年のダルビッシュ有(当時レンジャーズ)と20年の前田健太(当時ツインズ)の2位が、日本人の最高順位だ。だが3年ぶりに開幕から投打二刀流で臨んだ大谷は、開幕前に同賞の獲得を目指すと明言していた。
五十嵐さんも、その意気は感じていた。「サイ・ヤング賞を大谷選手が意識している。狙えるところまでいきたいという意識はあると思うけど、そう簡単に取れる賞ではないですよ。なんですけど、今の彼のピッチングを見ていると、やっぱり狙って取れるのかなと思わせる」。最近の投球を見るにつけ、考えが変化したことを明かした。
根拠も示した。「三振の数もそうだし、防御率もそう。若干、投球イニング数は足りてないですけど、このままいけばクリアできると思う」。奪三振61はナ・リーグ18位タイだが、奪三振率9.98は、山本由伸をも上回る同11位相当となる。防御率0.82は、規定投球回未満ながら、リーグで断然の1位に相当する。現在1位のサンチェス(フィリーズ)は1.47、同2位のミジオロウスキー(ブルワーズ)は1.65だ。自責点が公式記録となった1913年以降、9先発以上ではオープナーを除いて、歴代4位タイ。9先発時点で同じく防御率0.82だった09年グリンキー(ロイヤルズ)は、同賞を受賞している。
鍵となりそうなのは投球イニングだ。現在は55回で、規定投球回の59に届いていない。だが、今後に最低6回、7回以上の登板を増やしていければ、届かない数字ではない。今季は9試合中で登板7回が2試合、6回が6試合、5回が1試合だ。唯一、規定投球回に到達した22年は、6月以降に3試合、8回まで投げていた。
サイ・ヤング賞受賞者の過去最少イニングは、20年トレバー・バウアー(レッズ、後にDeNA)73回だが、これはコロナ禍の短縮シーズンだったため。リリーフ投手も受賞しているため、規定投球回未満の例もある。先発型では、84年ナ・リーグのサトクリフ(カブス)が150回1/3で受賞している。しかし、これはシーズン途中でア・リーグから移籍したため。両リーグ合計では244回2/3となる。21年バーンズ(ブルワーズ)は167回で受賞しており、規定投球回(162)に届きさえすれば、選考対象に入りそうだ。逆に、先発型で規定投球回未満の受賞例はないので、必須条件となりそうだ。
五十嵐氏は、また、サイ・ヤング賞獲得に向けては「本気度」が重要だとした。「もちろん、常に野球に向き合って、本気でやっているとは思う。その本気度が上がれば、彼に達成できないものはないのかなと見ていて感じました」。大谷はチームの優勝を最優先課題とする選手だけに、どこまで個人タイトル獲得に自らのリソースを注ぐのかが、大きな鍵を握りそうだ。
五十嵐氏は、テクニカル面の成長も指摘した。今季は「全てが良くなっているが(特に)制球ですかね。(ストライク)ゾーンの中で勝負できる。1つ1つの変化球の質も上がっている。得意のストレート、スイーパーの武器があるが、カーブ、シンカー、スプリット。スイーパーが良くなかったとしても、他の変化球で試合が作れる。投球の幅が広がっている」と説明した。
五十嵐さんは、データ面からも、投手大谷の成長が読み取れるという。「今年はストレートの三振、空振り率であったり、ストレートで押して、変化球で空振り三振が取れるシーンも増えている」。直球(フォーシーム)の空振り率は、昨年の24.7%から、メジャー移籍後最高となる28.2%へ上がっている。また、今季は61奪三振のうち、直球で奪ったものが27と、断然で最多の44%を占めている。こちらも、過去になかった傾向で、今季の成長が如実に表れている。【斎藤直樹】



