マーリンズのイチロー外野手(42)が、今季7度目のマルチ安打で勝利に貢献した。パイレーツ戦に「1番右翼」で2試合ぶりにスタメン復帰、4打数2安打。メジャー通算2963安打として歴代31位のサム・クロフォードに並んだ。前日まで23打数1安打の不振からようやく脱出したが、試合後は「厳しい第三者の目で見ていただければ」を連発。東京都の舛添要一知事(67)の“迷言”を引用してけむに巻いた。

 2本とも「厳しい第三者」でも文句の付けようのない完璧なヒットだった。イチローが、パイレーツのエース右腕コールの速球を打ち砕いた。3回は中前へ、7回には右前へ、いずれも94マイル(約151キロ)の速球を鋭いライナーではじき返した。7回は決勝点となった先制のホームも踏んで、チームの勝利に貢献した。

 好調イエリチ、主砲スタントンと主力外野陣が次々と故障で離脱したことで、急激に出番が増えた。5月21日から3試合で13打数10安打。42歳以上の選手ではメジャーで122年ぶりとなる固め打ちをやってのけた。しかし、その後は23打数1安打と当たりがぱったりと止まり、前日は4試合ぶりに先発を外れた。マッティングリー監督は「イチはケガ人の代わりに打線上位の穴を埋めてくれているが、必要以上に無理をさせていたかもしれない。休養して状態が戻った」と、疲労の見えたイチローの復調を喜んだ。

 これでメジャー通算2963安打となり、クロフォードと並ぶ歴代31位に浮上。ピート・ローズの歴代最多4256安打には日米通算であと15と迫った。だが、久しぶりに快音を響かせたイチローは、コメントを求められると舛添知事を連想させる、あの言葉を連発した。

 結果がようやく出たことについては淡々と「いや、もうそれは第三者の厳しい目で見てもらったらいいと思います」。凡打が続いた間の胸中についても「いやいや、それも含めて厳しい第三者の目で見ていただければ」と再び言い、クロフォードと並んだことにも「それも含めて、第三者の厳しい目で」と繰り返した。さらに開幕から2カ月連続で勝ち越したことを尋ねられても「それも含めてでいいんじゃないですか」と、けむに巻いた。口元には笑いを浮かべ、去っていった。【水次祥子】

 ◆舛添都知事と第三者 5月13日に会見。自身の政治団体の政治資金収支報告書に記載した飲食代の一部に「公私混同」を認めたが、正月のホテル滞在は家族で利用ながら政治資金の一部と強弁。同20日の会見では13日の会見で明かした正月の家族同伴のホテル利用について「第三者の厳しい目で精査してもらう」と前言撤回とも取れる説明をした。次々出てくる疑惑にも釈明できず「第三者に委ねる」との趣旨の発言を70回以上繰り返した。

<イチロー今季の談話>

 ▼4月21日(今季初めて2試合連続のスタメンに意表を突かれ)「いや今日は刺された。びっくりした」

 ▼同28日(ドジャース前田と初対決も、同僚ゴードンが禁止薬物使用で出場停止に。クラブハウスの雰囲気について)「そりゃ無言ですよ。前田のこともコメントできないですねえ」

 ▼同29日(メジャー通算500盗塁を達成。2900安打以上を放つ過去8人は「走攻守すべてそろっている」と振られ)「僕はすべてそろっているでしょう」

 ▼5月23日(3試合で計10安打。42歳ではメジャーで122年ぶり)「42歳とかもういいし。ほっとけや。やかましいわ」