今季海外FA権を取得したロッテ小林宏之投手(32)が、今日11日にもFA宣言し大リーグを目指すことになった。10日、千葉市内のホテルで石川球団運営本部長と会談を行い、メジャー挑戦の意向を伝えた。球団側は同投手の意思を尊重するとし、FA宣言した場合は残留を認めないことを伝えた。同投手はあくまでメジャー挑戦を優先させる考えだが、ソフトバンク、阪神も興味を示しており、日米で争奪戦が繰り広げられる可能性も出てきた。

 ロッテの守護神として日本一に貢献した小林宏と球団側との交渉は、わずか10分で終了した。「自分の思いを伝えた。ずっと何年も言っていることですから」と話した。石川本部長から「FA残留」を認めないことを伝えられたが、「それくらい意思は強い」と、退路を断って挑戦する決意を示した。

 まずはメジャー移籍を最優先で目指す。日米野球や06年WBC出場を通して興味が広がり、メジャー中継は欠かさず見ていた。07年オフの契約更改では、球団にポスティング(入札制度)を要望したが認められず、海外FA権を取得しての移籍を決意。昨年オフには国内移籍が可能なFA権を取得したが、1度行使すれば4シーズン在籍しなければならず、海外移籍を見据えて行使せずに残留した経緯がある。

 今春から水面下で準備も進めていた。代理人はオクタゴン社のアラン・ニーロ氏と契約を結んだ。田口や岩村ら日本人選手を数多く担当しており、05年に城島(現阪神)がソフトバンクからマリナーズに移籍した際には、3年総額1775万ドル(当時のレートで21億8500万円)の大型契約を結んだことでも知られる。

 一方、国内球団については「そこまで考えていない。先のことは分からない」としたが、メジャー球団と条件が合わない場合は日本球界も視野に入れているようだ。その場合を想定し、ソフトバンクと阪神が獲得調査に乗り出すことも分かった。編成・育成部長であるソフトバンク小林至取締役(42)は、球団の最大補強ポイントを「右の先発投手」と明言。すでにFA申請手続きを終えた西武細川、横浜内川の調査も行っているが「(FAについては公示日の)17日にどの選手に興味があるのか話します。補強ポイント?

 第一に右の先発投手。次に捕手」とした。

 また、阪神の球団首脳は「もしアメリカの球団がなければ、獲得を検討してもいい」ときっぱり。先発、リリーフどちらもできる右腕の獲得を想定し、本格調査に入ることを明言した。小林宏は早ければ11日にも正式発表し、FA権行使の手続きをとることになる。アメリカか、それとも国内か。今年のFA戦線の主役に名乗りを上げた。