<ブルージェイズ1-4レンジャーズ>◇30日(日本時間1日)◇ロジャーズセンター

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が、「伝家の宝刀」のスライダーを自在に操る快投で、ア、ナ両リーグでトップに並ぶ4勝目を挙げた。前回登板のヤンキース戦から中5日でブルージェイズ戦に先発。メジャーで初めて本塁打を浴びたが、7回を4安打1失点。要所で効果的にスライダーを決め、9三振をいずれも空振りで奪った。これで5試合に登板して4勝で防御率2・18。メジャー最初の1カ月を月間MVP級の成績で通過した。

 ダルビッシュが内外角を自由に攻めて、ブ軍打線を翻弄(ほんろう)した。カギとなったのは「緩急をつけられた」というスライダー。横に大きく曲がる84マイル(約135キロ)前後の球と、縦に曲がる80マイル(約129キロ)前後の2種類を使い分けた。これに小さく鋭く曲がる90マイル(約145キロ)超のカットボールが加われば怖いものはない。

 象徴的だったのは、10、11年と2季連続ア・リーグ本塁打王を獲得した主砲バティスタとの対戦だった。6回1死走者なし。力のこもったまなざしでミットを見つめると、カットボール2球で2ストライクを奪った。3球目、バティスタはハーフスイング寸前でバットを止めたが、横に曲がるスライダーで三振を狙った。4球目は縦に変化するスライダーがボールとなったが、投げ急ぐことなく、5球目のカットボールで二ゴロに仕留めた。3打数無安打に終わったバティスタは「どの球でもストライクを取れるから狙いが絞れなかった」とたじたじだった。

 4回2死走者なしの場面で5番エンカーナシオンに左翼に運ばれたが、崩れない。走者を背負っても焦らず「とりあえず目の前の打者を打ち取ることだけ」と、堂々たるパフォーマンスで7回を97球で投げきった。自身はトロントに先乗りした前夜、アーリントンでナイターを終えたチームがホテルに到着したのは午前5時半。「ブルペンの人も疲れていると思いますので、7、8回までは投げたいと思いましたね」。好投の陰には仲間を思いやる気持ちがあった。

 この日の舞台トロントは、不思議な縁を感じる場所でもあった。レ軍と並び、ブ軍はダルビッシュ獲得に熱心に動いた。昨季、アンソポロスGM自らが視察のために何度となく日本へ足を運んだ。結局、ポスティングシステム(入札制度)ではレ軍が落札したが、ブ軍の青いユニホームに袖を通していた可能性があったことは知っていた。「僕のチームになるかもしれなかった。チームメートになるかもしれなかった人たちに投げたので、本当に不思議な感覚でしたね」。

 4月は5試合で登板して4勝無敗。登板を重ねるごとに各球種の精度は上がり、目に見えて効果的な投球内容になってきた。「なんとなくメジャーリーグ自体の雰囲気とか、そういうのに自分がなじんできたというのが一番(の理由)じゃないでしょうか」と浮かべる笑みには、いい意味での余裕も生まれてきた。メジャーが自分の居場所と思えるようになった今、その才能はより大きく花開くはずだ。【佐藤直子通信員】