アスレチックスからFAとなり、阪神が獲得を目指している中島裕之内野手(32)の代理人スコット・ボラス氏(62)が12日(日本時間13日)、米フェニックスで行われているGM会議で「日本からオファーが届いているし、日本でプレーすることになるだろう」と見通しを語った。これで古巣西武など国内他球団との争いに限定された。球団は近日中にも4年10億円超の大型契約を提示する見込み。長期戦とみられる中島争奪戦に1つの朗報だ。

 猛虎にとっては1つの朗報だ。米フェニックスで行われているGM会議での記者会見、中島の代理人を務めるボラス氏が自ら中島の日本復帰を口にした。

 「日本からオファーが届いているし、日本でプレーすることになるだろう」

 関係者によれば、中島は引き続き米国でプレーしたいという希望も持っていたというが、ここにきて、日本復帰が決定的となった。すでに獲得に乗り出している古巣の西武など国内他球団がライバルとなる。

 「何かあったら、言いますよ。粛々とやる。日本でやることになりそう?

 それはいい情報だな」

 この日、高知・安芸キャンプを視察した中村GMは中島との交渉について、こう話した。球団側も中島の日本復帰が決定的という情報はキャッチしていた。争奪戦の中で1歩前進した。

 今オフ補強の目玉として中島の獲得調査を行ってきた猛虎は、最大で4年10億円超の大型条件を用意している。補強リストに挙がっていた国内FA組の中日山井、日本ハム宮西らが残留を決めたため、このFA資金を中島獲得に投入できるという環境にもある。

 金銭面だけではない。掛布氏の「31」、金本氏の「6」というレジェンド番号の他、中島の希望する背番号を準備しているという。

 球団幹部が「長期戦だと思います」と話すなど、これまで12月の米国ウインターミーティング後から、越年まで視野に入れた長期戦を覚悟していた。ただ、日本復帰に移籍先が絞られれば、早期決着の可能性もゼロではない。

 相手は数々の高額契約を成立させてきた敏腕代理人。緊迫した交渉が続くことが予想されるが、すでに水面下で他球団の動向も調査している。地元・兵庫県伊丹市出身のスラッガーを迎え入れる準備は万全だ。

 ◆スコット・ボラス

 1952年11月2日、米カリフォルニア州生まれ。パシフィック大学時代は主に内野手として活躍。その後24歳まで4年間マイナーでプレー。2Aのオールスターに選出されたこともある。故障で現役断念後、マックジャージー法律学校で弁護士資格を取得。00年オフにA・ロドリゲスとレンジャーズとの間でまとめた10年総額2億5200万ドル(約290億円)は、当時の全米プロスポーツ史上最高。数々の巨額契約を手がけている。(換算レートは当時)