<ア地区シリーズ:レイズ1-5レンジャーズ>◇第5戦◇12日(日本時間13日)◇トロピカーナフィールド

 【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)=木崎英夫通信員】レンジャーズがレイズに快勝し、3勝2敗で、全30球団で最後、球団史上初のア・リーグ優勝決定戦進出を決めた。先発のクリフー・リー(32)は第1戦に続き2けた11三振を奪い、1失点完投。攻撃では果敢な走塁で相手のすきを突いた。1961年の創設から4度目の挑戦で初めて地区シリーズを突破し、15日(同16日)からワールドシリーズ連覇を狙うヤンキースと対戦する。

 リーは、最後の打者を打ち取ると打球の行方を見ず、ゆっくりと捕手のモリーナに向けて歩きだした。両手を広げた相棒のしぐさが悲願達成の合図。ガッチリと抱き合い、感情を爆発させた。初戦に続いて、敵地でレイズ打線を手玉に取って120球の完投勝利。7月にマリナーズから移籍した左腕は開口一番、「四球を出さなかったのが大きい」と振り返った。

 そのリーがたたえたのが、相手のお株を奪う、どん欲な走塁だった。初回、一塁ゴロで二塁走者アンドラスが生還した。6回には一塁ゴロ併殺崩れの間に、二塁走者ゲレロが巨体をゆすり、ヘッドスライディングでホームへ。ともに、ベースカバーに遅れたレイズのエース、先発プライスの緩慢な動きを見逃さなかった。

 ワシントン監督は「レンジャーズらしからぬと人が思う勝ち方で、選手たちがやってくれた」と、伝統的な長打力のチームカラーに機動力をプラスしての勝利に語気を強めた。3月には、同監督が過去のコカイン使用を告白して騒動になった。シーズン中にはチームが競売にかけられた。そんなごたごたを乗り越え、今度はヤンキースの撃破を目指す。