崖の上のアグーが踏ん張った。西武山川穂高内野手(23)が27日のオリックス戦に6番一塁で先発し、猛打賞の活躍を見せた。4回2死二、三塁で高めの変化球を振り抜き、左前へ2点適時打。「意地だった。どうにかしようと思った」と不退転の決意だった。

 17日の紅白戦で1発を放ったが、対外試合に入り、11打数2安打。前夜は自室で携帯電話をジッと見つめた。「いい時の映像と比べてトップの動きが大きかった。その動きを少なくしてセンター返しを意識した」。2回無死一、二塁で左翼線へ大ファウル。「左中間に打つ気持ちがあれば、スタンドイン。でも久々に自分のスイングができた」と、打ち直しで併殺打に終わってもプラス思考だった。

 思いつめる姿は176センチ、100キロで「アグー」のあだ名で愛される男には似合わない。前日26日の宮崎からの移動時はスーツ姿にトレーニングシューズ。革靴を用意し忘れるハプニングで高校球児のようないでたちで登場し、照れ笑いを浮かべた。

 田辺監督は「ある意味、崖っぷちだった。声も出ているけど、打撃に期待しているから。これで上げてくるんじゃないか」と、天真らんまんな和製大砲候補の上昇気配を感じた。【広重竜太郎】