中日が電光掲示板のトラブルを乗り越え、今季初勝利を挙げた。試合前に球場のミスで名前がなかった福田永将内野手(26)が「5番一塁」で今季初先発。2回に巨人杉内の直球を左翼席へ運ぶなど、2試合連続本塁打を含む3安打で勝利へと導いた。同点の8回には代打小笠原の適時打などで2点を勝ち越し、連敗を3で止めた。

 売り出し中の中日福田がチームに今季1勝をもたらした。「5番一塁」でスタメンに抜てき。場内の異様な期待感に包まれ、2回に打席に入った。代名詞の大きなフォロースルーから飛び出した打球は天井の下すれすれを通って左翼席に届いた。先制の2号ソロ。中押し点に決勝点を導く二塁打とプロ初の3安打で若武者が力強くけん引した。

 「昨日の練習中に言われて、すごい緊張してました。入ってくれと思って必死に走りました」。武骨な男が頬を緩めた。ビッグチャンスは唐突だった。森野が3月29日の阪神戦で右手親指を骨折。オープン戦で4本塁打、13打点の福田が代役に指名された。

 ハプニングもはね返した? 試合前の先発発表で、ビジョンで紹介された名前が大間違い。森野が3番、自分の名前が呼ばれるはずの5番には「平田」。さらには8番松井雅、9番川上…。球場側のミスだった。ロッカー室で聞いていた福田は「みんな、どうしたん? って感じでした」と大笑い。開幕3連敗から本拠地で再起をかけた一番。いきなりずっこけたが、旬の男のバットがそんなことで止まるわけがない。

 6回には右前に適時打。そして同点にされた直後の8回は決勝点につながる左翼フェンス直撃の豪快な二塁打だ。いまや誰より声援を浴びるニューヒーロー。「めちゃくちゃ聞こえます。絶対打ってやろうという気持ちになる」。ファンの力も巻き込んで、強引なまでのフルスイングで記念星をもぎ取った。【柏原誠】

 ◆福田永将(ふくだ・のぶまさ)1988年(昭63)7月23日、横浜市生まれ。横浜高1年夏に、2年上の涌井(ロッテ)とバッテリーを組み甲子園出場。3年春の選抜優勝。06年高校生ドラフト3位で中日入り。昨季まで1軍通算107試合に出場し、打率2割、4本塁打。181センチ、80キロ。右投げ右打ち。年俸650万円(推定)。