おかわり弾で24年ぶりの開幕から5連続おかわり勝利! 西武中村剛也内野手(31)が4回に今季第1号のソロ弾、5回1死一塁で2打席連続となる2ランを放ち、快勝に導いた。開幕5連勝で、8連勝した91年以来の快進撃を再現。開幕前の下馬評は低かったが昨季は1度もなかった大型連勝を決め、7年ぶりの優勝へ暴れ獅子と化した。

 本塁打王5度の主砲がベンチから、あおられた。「お前もホームラン打てよ!」。前打者の浅村が5戦目で12球団で一番遅い、チーム第1号。ならば、と楽天美馬のフォークをすくい上げる。高々とした放物線は逆風を押しのけ、左翼席前列で跳ねた。試合中は「ベンチの声援が後押しに」とコメントしたが「声援というか、あおりです。7番(脇谷)と8番(渡辺)の」と圧力を明かした。

 開幕4戦でノーアーチ。騒ぐ数字ではなく、田辺監督は打撃練習を観察し、予感していた。「雰囲気があった。これまで芯に当たっても打球が上がらず、ドライブがかかっていた。でも今日は本塁打性が多かった」。中村は変化を語らなかったが「旗は(レフトへ)逆風だったけど打撃練習ではそんな感じでもなかった」と周到にホームラン空間を下見していた。18打席目の1発は必然だった。

 雨天中止の前日1日、驚異の打球を栗山と振り返っていた。今季からコボスタ宮城では打球速度を計測できる高性能機器を設置。だが初戦のペーニャの弾丸二塁打は表示されなかった。

 中村 すごい打球だった。三塁で捕れると思ってジャンプしたのに、5メートル上をあっという間に通過した。

 栗山 捉えきれなかったのなら、ステルス性やな。

 レーダーに捉えられにくいという例えに中村は笑って聞いていた。この日の1発目は打球速度154キロと測定可能だったが、連発は誰もが容易になせる芸当ではない。5回1死一塁、内角直球に腰を鋭く回転させ同159キロのライナー性で左翼席へ120メートル弾を運んだ。1発を回避しようという楽天レーダーに、おかわり君は映らなかった。

 大方のBクラス予想を吹き飛ばす24年ぶりの開幕5連勝だ。「(下馬評は)何も思わず、みんなやっている。1戦1戦やるだけ」。スナック菓子のうまい棒3本を握り締め、帰りのバスに乗り込んだ。本塁打と白星のおかわりは一段と、うまかった。【広重竜太郎】

 ▼西武が開幕5連勝。開幕から5連勝以上は13年巨人以来で、西武では8連勝した91年以来、24年ぶり9度目。昨年は監督代行を務めた田辺監督だが、正式監督としては1年目。「新人監督」が開幕から5連勝以上は、72年与那嶺監督(中日)6連勝、79年梶本監督(阪急)6連勝に次いで36年ぶり3人目。今日のソフトバンク戦に勝てば新人監督の開幕連勝記録に並ぶ。