オリックスが「9回の悲劇」で2カード連続勝ち越しを逃した。2点リードで9回のマウンドに上がったのは岸田護投手(33)。だが、勝利まであと1死のところで、吉村に逆転打を浴びた。左顔面けいれんで4月28日楽天戦を先発回避した西勇輝投手(24)が6回無失点と好投も、昨年8月1日以来の勝ち星も、その瞬間に消えた。直前には、李大浩に反撃打を許していた。「(李大浩への球は)中に入った。もっと低く集めないといけなかった」。岸田は唇をかんだ。

 今季イニング別失点は、9回が最多18失点。この日、本来の抑え、平野佳の登板を控えたことについて、森脇監督は「チームの内情のこと」と話すにとどめた。右足首痛が癒えたばかりの平野佳が3日連投していたため、体調にも配慮したとみられる。この日球場には3万6154人が訪れ、同球場最大席数が3万6154席のため“空席0”の大盛況だったが、その中で苦心の継投は実らなかった。

 救いは西の好投だ。薬で痛みを抑えながら、走者を背負うごとに味方に声をかけ、勇気を持って腕を振り続けた。「この結果が次につながれば」と気丈だった。体調不安、好投が白星につながらないジレンマにも耐え、勝利への執念を燃やし続ける。【堀まどか】