異例の打線改造も最下位脱出とはいかなかった。虎はマット・マートン外野手(33)が不振のため先発メンバーから外れるオーダーで広島戦に臨んだが、待ち受けていたのは、今季2度目の同一カード3連戦3連敗。打線は11試合連続1桁安打と、またも爆発せず。本拠での惨敗続きに、虎党も肩を落とした。本拠で味わった屈辱をバネに、明日12日から反攻に転じてくれ!

 4点差をつけられた6回裏だった。一塁ベンチ前でナインが円陣を組む。輪の中心にいるはずのマートンは後方に控えていた。最下位転落から一夜明け。和田監督が下した決断はトンネルから抜け出せない助っ人のスタメン落ちだった。不振で先発を外れるのは12年以来3年ぶり。そんな「ショック療法」も実らない。昨季の首位打者を欠いた打線は湿ったままだった。

 虎党もしびれを切らす惨敗だった。7回、広島の攻撃中、押し出し四球でいたずらに失点を重ねると、客席の風船が「ピュ~ピュ~」と飛び交う。今季2度目の3連戦3連敗。借金は今季最多タイの5に膨れ、和田監督も渋い表情で振り返る。

 「この3連戦、同じような内容の試合をして非常に申し訳ない。いまは、ここから、どう立て直して、どうはい上がっていくか。みんな、硬いのと空回りしている。いまは、うまくいかない」

 広島福井の丁寧な投球に工夫できず、単調な攻めで7安打2得点。マートンの代役に入った左翼新井も3三振するなど、カンフル剤にはならなかった。

 手をこまねいているわけではない。この日、和田監督は試合前練習を行うグラウンドに姿を見せず、マートンにスタメン落ちを告げていた。指揮官は「なかなか状態が上がってこないし、本人も苦しいと思う。今日でリセットして。いつまでもベンチに置いておく選手じゃないんでね」と説明する。この日は欠場し、リフレッシュを図ったが明日12日ヤクルト戦(神宮)からスタメン復帰する予定。

 前日9日も試合前は本隊から外れ約50分間、オマリー打撃コーチ補佐と室内練習場で打撃練習に取り組んだ。敗戦後は平田ヘッドコーチや打撃部門のコーチが善後策を話し合っていた。マートン自身はこれまでも首脳陣と話し合いを行ってきた。開幕から不振は続き、5月も25打数4安打、打率1割6分。この日の試合後、マートンは「試合に出ていないから、何もないよ」と言い残し、クラブハウスへ消えた。不調、苦悩から解き放たれるのはいつなのか。球界屈指のヒットマンの底力が試される。【酒井俊作】

 ▼阪神マートンが今季35試合目で初めて欠場した。14年8月9日広島戦(京セラドーム大阪)で下半身の張りを理由に欠場して以来。同年は5月11日巨人戦(甲子園)を体調不良のため欠場。13年は9月15日ヤクルト戦が出場停止処分(前日14日ヤクルト戦での同年2度目の退場処分を受け)で、残り143試合に出場。12年はシーズン開幕時に3試合、8月中旬から9月初旬に15試合、9月下旬から10月初旬のシーズン終了間際に5試合、計23試合欠場した。11年は8月5、6日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)を食欲不振で欠場したほかは142試合出場。来日1年目の10年は全144試合に出場した。「不調」「不振」で先発落ちしたケースは12年8月11日広島戦、11年8月18日広島戦がある。

 ▼阪神は甲子園で広島に3連戦3連敗。広島相手に甲子園3連戦3連敗は、04年4月13、14、15日以来11年ぶりとなった。今季は4月7、8、9日DeNA戦で甲子園同一カード3連敗している。本拠年間2度のケースは04年(前出の広島戦と7月23、24、25日ヤクルト戦)以来。球宴前のシーズン前半で本拠3連戦3連敗を2度喫したのは00年(5月2、3、4日横浜戦、同月16、17、18日ヤクルト戦)以来となった。