でかしたサンティアゴ! 阪神の新外国人マリオ・サンティアゴ投手(30)が、来日初登板で初勝利や~。推定年俸1500万円の右腕が、チーム3連勝を呼び込み、3位に押し上げた。不調メッセンジャーの代役登板で7回1失点。打線の援護を受ける形になったが、難敵をやっつける仕事ぶりは、まさにスーパーマリオだ。

 ベンチから身を乗り出した新たな虎戦士は、大興奮で8回のハイタッチに加わった。7回1失点の降板直後に逆転劇。サンティアゴは興奮冷めないまま声を上げた。

 「本当にうれしい。日本に呼んでもらえるチャンスをいただいたこと、初先発で初勝利を挙げてチームに貢献できてうれしい」

 直球とほとんど球速差がなく、シュート回転で微妙に落ちる「ハードシンカー」でかき乱した。初回無死一塁から2番亀沢がバントを試みた。2球のハードシンカーで失敗を誘う。3球目。外角143キロの魔球で空振り三振。「自分のスタイルのシンカーもチェンジアップもうまく投げられた」と胸を張った。

 無心で自ら道を切り開いた。今年3月、甲子園の室内練習場でメッセンジャーと顔を合わせた。「一生懸命やっていれば、チャンスはやってくるから」。先輩助っ人右腕からのアドバイスにうなずいた。昇格の壁となる外国人4枠など関係ない。練習メニューの1つ1つに「何をしているの?」と周囲を質問攻めするほど、どん欲だった。みるみる減った体重も努力を裏付ける。13年に受けたトミー・ジョン手術から約1年間実戦を離れた。来日直後はベスト体重を上回る約113キロ。若手選手に交ざり汗だくになり7キロ減。本来の動きを取り戻していった。

 懸命な姿に愛称「マリオ」も定着してきた。日本語の習得にも励む日々。朝は「オハヨウゴザイマス」と1人1人に笑顔で声をかけた。アップ中も「イチ、ニ、イチ、ニ…」と見よう見まね。親しみやすい性格に人が集まった。1軍合流直前、近日中に帰国予定の愛する家族とリフレッシュ。婚約者のジュリエッタさんと1歳6カ月になる娘アナちゃんらと好物の焼き肉に出かけた。音楽に乗りダンスを踊り出す愛娘に優しい目線を送り、パワーも満タンだった。

 和田監督は「7回を1点で抑えている。非常に粘り強く、一生懸命だよな。必死だった」と評価した。当初、21日巨人戦(甲子園)はメッセンジャーの先発予定だったが、サンティアゴが2度目のマウンドに立つ可能性も出てきた。不調が続くメッセンジャーの代役のはずだったが、3連勝を呼び込み、3位浮上の白星をもたらした。仕事の大きさから見ると、代役とはいえないものだった。【宮崎えり子】

 ▼阪神の新外国人投手による初登板先発勝利は、08年アッチソン以来7年ぶり8人目。過去7人のうち85年ゲイルは13勝を挙げ日本一の立役者、02年ムーアは翌03年まで2年連続10勝し03年Vに貢献。サンティアゴも続くか。

<マリオ・サンティアゴ アラカルト>

 ◆生まれ 1984年12月16日、プエルトリコ。

 ◆球歴 米バトンルージュ大から05年ドラフト16巡目でロイヤルズと契約。マイナー通算156試合、36勝51敗、防御率4・04。12年は韓国・SKに在籍し、18試合6勝3敗、防御率3・40。13年WBCではプエルトリコ代表として日本戦で勝利投手。日本の3連覇を阻止した。「私のビッグゲーム」。

 ◆トミー・ジョン手術 13年4月に右肘の手術を受け、14年オフに母国のウインターリーグで復帰。「リハビリもしっかりやったので、自分でも力強くなったと感じているよ」。

 ◆家族 今年12月に結婚する予定の婚約者ジュリエッタさんと1歳6カ月の愛娘アナちゃんと来日した。

 ◆好きな日本食 そば、焼き肉。韓国時代に習得したという箸を器用に使いこなす。

 ◆サイズ 公称188センチ、95キロ。右投げ右打ち。