今日26日、「日本生命セ・パ交流戦」が開幕する。甲子園で楽天3連戦に臨む阪神は、明日27日に先発予定の藤浪晋太郎投手(21)が、03年井川以来、球団12年ぶりの3試合連続完投勝利を目指す。今季から1カード3連戦に変更され、和田監督はカード2戦目の重要性を強調。カギを握る藤浪が、5位からチームを押し上げていく。

 初夏の日差しとスプリンクラーの水が、藤浪の前途を祝うような虹をかけた。甲子園で調整を終え、気持ちを高めた。「自分がイニングを投げてリリーフの方に休んでもらえるようにしたい。メッセンジャーがいない中で、イニングを消化して、できるだけ長いイニングを投げられるようにしたいです」。

 昨年の勝ち頭だったメッセンジャーは不振で2軍調整を余儀なくされ、ようやく次カードで復帰予定。守護神の呉昇桓は23日から体調不良を訴えDeNA戦は2試合ブルペン待機できなかった。出動機会の増えたブルペン陣を気遣い、チームのピンチに藤浪が奮い立つ。

 2試合連続完投勝利の勢いをもって、27日楽天戦(甲子園)を迎える。今季の交流戦は1カードが2連戦から3連戦に変更された。和田監督は「これまで1戦目が大事だったけど、2戦目が大事になってくる」と、カード勝ち越しをかけた2戦目の重要性を説いた。

 前回20日巨人戦はプロ初の完封勝利。力でねじ伏せた21歳に、快挙の期待も高まる。3試合連続で完投勝利を収めると、球団では03年井川が4試合連続完投して以来。右腕に限れば94年の藪までさかのぼる。藤浪は「自分のできることは限られているので、自分のできることをしたい。チーム状況は苦しい中で、カバーしようとか気負わずにできることをしたいと思います」と、落ち着いた口調で自分に言い聞かせた。

 達成した先には5月の月間MVPも見えてくる。ここまで5月は4試合に登板。2日巨人戦の完投負けを含め、3試合を1人で投げきり2勝2敗。防御率は1・16と抜群の安定感を誇っている。候補に挙がっている藤浪は「狙うとかはないです」とあくまで自然体の構えだが「次を投げた中でいい成績がついてきて、もらえたらうれしいですけれど。しっかりやって結果的についてきたらいい」。低迷するチームを右腕が盛り上げる。【宮崎えり子】

 ▼阪神投手の3試合連続完投勝利は、03年の井川以来達成されていない。同年、左腕の井川は6月25日広島戦(大阪ドーム)で6安打完封した後、7月2日中日戦(甲子園)を3失点、同月8日広島戦(倉敷)が4失点、同月21日ヤクルト戦(甲子園)は3失点で、それぞれ完投白星。4登板連続完投勝利となった。

 ▼右腕で3試合連続完投勝利は、94年の藪までさかのぼる。同年の藪は5月10日中日戦(ナゴヤ)と、同月17日横浜戦(甲子園)がいずれも1失点完投勝ち。同月24日巨人戦(甲子園)は5安打完封だった。