等身大に戻ってスコアボードにゼロを並べた。巨人マイルズ・マイコラス投手(26)がオリックス打線を5安打に封じ来日初完封を飾った。最終回に1死満塁のピンチを招くも、三塁手吉川大幾内野手(22)の超ファインプレーでゲームセット。マイコラスは開幕直後は不安定な投球が続いたが、原辰徳監督(56)の助言を受けて本来の自分を取り戻し、自身2連勝。DeNAが敗れたため、チームは単独首位に立った。

 196センチの大男マイコラスを中心に歓喜の輪ができた。最大のピンチを超美技で救ってくれた175センチの吉川を、力いっぱい抱き寄せた。「すごいプレーだった。やられたと思ったけど、(吉川は)飛びついて、アンダーソンもよく捕ってくれた」と謙虚に感謝した。パ・リーグ防御率1位のディクソンとの投げ合いを制し、来日初完封。チームを単独首位に押し上げた。

 シンプルに封じた。直球とカーブ主体で、8回までは連打も許さなかった。6回2死、打者駿太。カウント1-1からの3球目、カーブをファウルされた。4球目は目いっぱい腕を振った150キロの内角高め直球で、3者連続三振に仕留め中盤のヤマを乗り越えた。小細工なしの被安打5。この3試合でも、24回を投げて1点しか失っていない。開幕直後の危なっかしい姿は、もうない。

 手を差し伸べたのは原監督だった。5月21日の阪神戦での登板前。「なぜ結果が出ないか、不思議だろう。マウンドとブルペンが別人だ。1つ訂正してくれ。他に何も変える必要はない」と伝えた。斎藤投手コーチからは「真っすぐとカーブが一番良いのだから、主体にすればいい」との言葉ももらった。図星だった。「良い姿を見せようという気持ちもあって投げ急いでしまうこともあった」とマイコラス。メジャーリーガーのプライドが邪魔をし自分を失いかけたが、原監督らの金言で取り戻した。

 等身大の投球に徹した。「捉えられるまではカーブでいこうと思った」と自分を信じて投げ続けた。原監督は「マイコラスがマイコラスになった」と称賛。メジャー時代にも成し遂げられなかった完封勝利は、日本で進化した何よりの証しだ。【細江純平】