「ザ・ファインプレー」だった。移籍1年目の巨人吉川大幾内野手(22)がチームを救った。1点リードの9回1死満塁、三塁線への痛烈なゴロをダイビングキャッチ。起き上がって三塁を踏み、全力投球で一塁にボールを送った。仲間から抱きつかれ、お立ち台へ。ヒーローインタビューを終えても、興奮冷めやらず「ボールが来たと思って、無我夢中でしがみついて…。緊張でこの10~15分間の記憶がないんです。(お立ち台で)僕、なんか言ってましたか?」と目をパチクリ。「今日は野球の神様に感謝です」と目尻を下げた。

 憧れの先輩仕込みの守備だった。昨オフ、PL学園の先輩でもある楽天松井稼の下で自主トレ中、同じくOBの宮本慎也氏(日刊スポーツ評論家)が練習に訪れた。約1時間、スローイングやグラブの出し方、足の運びの助言を受け必死に反復。染み込ませた技術が、勝負を分けるその時に発揮された。原辰徳監督(56)は「目にも止まらぬ状況の中、ダブルプレーでゲームセット。呼吸も止まっているような感じの中で試合が終わった。スーパープレーとはあのプレーを言うんだ。勝利の神様が見ていた」と絶賛した。【久保賢吾】