「逆転」ゴールデンイーグルスだ! 一時は4点差をつけられた苦しい試合を、楽天松井稼頭央外野手(39)が一振りでひっくり返した。2点を追う6回、2死満塁。DeNA岡島の内角129キロチェンジアップをはじき返すと、高々と上がった打球はレフトスタンドで弾んだ。「一瞬だけどこいったかな? と思ったけど、打った瞬間に入ると思った。最高でした!」と一塁を回りながら右の拳を握り締めた。

 西武時代の同僚である中日和田が2000安打を達成した日に、今年で40歳のベテランが先輩に負けじと大仕事を果たした。「社会人から入っての2000本はすごいこと。今後も1つずつ安打を重ねていくと思うので、僕も1本ずつ積み上げていきたい」と、残り30本に迫った国内2000本へ思いを重ねる。2四球2安打で全打席出塁。2回には二盗も決めて、いまだチームトップクラスの身体能力を見せつけた。今年から挑戦した外野守備でも前日10日までノーエラー。7本塁打もチーム1位と、走攻守で屋台骨を支える。

 大久保監督は「稼頭央は慌てず自分のスイングをしてくれた。さすが」と称賛。これで「師匠」と仰ぐ中畑監督との初対決を、劇的すぎる3連続逆転勝利で終えた。次は和田を擁する中日との3連戦。殊勲の松井稼は「今日のチームには守備のミスもあったけど、悪いものを出し切ったので、また明日から1つずつやっていきたい」と先を見据えた。ベテランがその背中で、若いチームを引っ張る。【松本岳志】