西武十亀剣投手(27)に約1カ月ぶりの白星が巡ってきた。5連勝中のオリックスを8回5安打無失点に抑えた。9回も「投げたい」と主張したが、109球の球数と中継ぎ投手に登板機会を与えるため、約1年ぶりの完封勝利はお預け。それでも今季最多タイとなる14得点の援護にも後押しされ、5月12日の日本ハム戦以来となる5戦ぶり5勝目を挙げた。

 「援護点をもらい、楽に投げさせてもらった。勝てない時期もあったけど、試合自体はあまり崩していなかった。いい形を続けていれば勝てると思っていた」と信念を貫いた。球速に伸びを欠き、2、3回と得点圏に走者を置いたが「力を抜いて丁寧に。メリハリをきかせながら」と切り抜けた。4回以降は危なげない1人旅。前日のリーグ再開戦をエース岸で落とした嫌な流れを断ち切った。

 試合の初球を投げる前に精神統一を図る。頭を両腕で抱えるようにして、中腰でかがんで地面を見つめる。「周りの景色を遮断するために地面を見る。自分だけの空間をつくって『よし、やるぞ!』と気合を入れて臨むんです」。ルーティンで邪念を捨て、白星を呼び込んだ。

 1試合平均6・8イニングの投球はチームトップ。「今年はしっかり投げられている。少しずつ、つかみかけている」。十亀の安定力がチームを上昇させる。【広重竜太郎】