将来的にメジャー挑戦の夢を持つ日本ハム大谷翔平投手(21)に、米球界を動かす超大物が「接触」することが7日、分かった。来日中の有名代理人スコット・ボラス氏(62)が、9日に札幌市内の球団事務所で、日本ハムを表敬訪問することが判明した。大谷本人と対面はできないが、今後見込まれるポスティングシステム(入札制度)などでの米球団移籍に備えた、動きの1つとみられる。レッドソックス松坂(現ソフトバンク)をはじめ、数々の高額契約をまとめてきた敏腕。まだ3年目だが、最速162キロ右腕の周囲が騒がしくなってきた。

 次代を担う有望な日本人メジャー筆頭候補の大谷が、一気にクローズアップされてきた。米球界でも著名な代理人のボラス氏が来日し、9日に札幌市内の球団事務所を表敬訪問することが分かった。複数の米球界に近い関係者によれば、これまでもパイプがある日本ハム球団への純粋なあいさつが目的という。球団側も首脳、幹部クラスが応対する見込み。ただ将来的に、大谷がメジャーへ挑戦することを想定。その「Xデー」を見越してのアクションの1つともみられる。

 異例の早期段階での「接触」といえる。大谷は今季3年目。最速で米球界へ挑戦できる手段はポスティングだが、現段階では踏み切る時期は不透明。少なからず現状では、今オフの可能性は0%だ。球団側は大谷のプレー、生活環境の整備を重視する。配慮して、その他の代理人も現状では接触は不可となっている。ボラス氏も同様だが、北海道まで足を運ぶところに本気度がうかがえる。

 既に動きが水面下で、活発化しているのが実情だ。2日ロッテ戦にメジャー10球団、計19人のスカウトらが集結。ヤンキースとレッドソックスなどの名門に、ダルビッシュ獲得で実績あるレンジャーズなど多くの球団が、チェックを本格化させている。高い資質を生かして急成長を遂げている投手としての評価も高いが、大谷の特性にも着目。「うちは『二刀流』でも、見ている」と話す一部球団もある。いつの日か米球界のストーブリーグの主役になるだけに、ボラス氏の動きだしが早まったのも、代理人として当然といえる。

 日本ハムが来年2月に実施する米アリゾナ州ピオリア春季キャンプでは、既に多数の米球団関係者が視察する計画を練っているという。日本とは違った環境下での対応力などを、視察するのが狙い。中には編成トップ級も含まれている。レッドソックス松坂の入団を手がけたボラス氏も含め、大谷の周囲は、来るべき時へ向けて騒々しくなってきた。次回登板は10日ソフトバンク戦(札幌ドーム)を予定。ボラス氏を含め今後さらに増えるであろう無数の目が、豊かな未来を見つめていくことになりそうだ。

 ◆スコット・ボラス 1952年11月2日、米カリフォルニア州生まれ。パシフィック大では主に内野手として活躍し、74年にプロ入りしカージナルス傘下などで4年間プレー。故障で引退後、パ大に復学し工業薬理学の博士号を、マックジョージ法律学校で弁護士資格を取得。82年に代理人業を開始し、現在まで約180人の選手を担当。初の3億ドル(約360億円)を超える契約をまとめるなど、数々の巨額契約を締結。米経済誌フォーブスで「世界で最も影響力のあるスポーツ代理人」に13年から2年連続で選ばれた。現在は有力代理人を多数抱えるスコット・ボラス社の社長で、選手が使用できるトレーニング施設なども所有。

 ◆ボラス氏の実績 スーパーエージェントとも呼ばれる。独自の選手評価システム、成績予想システム、強気の交渉術や強い発言力を持つ。ヤンキースのロドリゲス内野手が00年にレンジャーズと結んだ2億5200万ドル(約302億円)、07年にヤ軍と結んだ2億7500万ドル(約330億円)は同氏が担当し、当時としてはメジャー唯一の2億ドル超え契約だった。有名契約選手は12年新人王のハーパー外野手、13年サイ・ヤング賞のシャーザー投手(ともにナショナルズ)、07年本塁打王のフィルダー内野手(レンジャーズ)ら。日本選手では07年にレッドソックスと契約した松坂、アスレチックス中島(現オリックス)、昨オフに海外FA権を行使した阪神鳥谷の代理人を務めた。