記録ずくめで、プロ5年目のシーズンを終えた。ヤクルト山田哲人内野手(23)が、今季最終戦で38号2ランを放ち、100打点の大台に乗せた。5点を追う6回1死一塁。巨人宮国の真ん中高め143キロ直球を左中間スタンドに運んだ。「100打点は想像もしていなかった数字だった。とにかく自分でも驚いています」と驚くばかりだった。

 打点だけではない。打率は3割2分9厘、さらに盗塁数は34をマーク。3割、30本、30盗塁の「トリプルスリー」も達成した。100打点との同時達成は、プロ野球史上3人目。23歳にして、偉大な先輩の仲間入りを果たした。「良かったです。うれしいです」と淡々と振り返った。打点王の座は畠山(105)に、打率トップは川端(3割3分6厘)に譲る形になりそうだが「一番いい形だと思います」。

 100打点の後押しは、試合前の金言が生きたのかもしれない。TBSの番組収録で、元監督の野村克也氏と対談した。「打つときに肩の力を抜けと言われるだろ? あれは違う。膝の力を抜くことが大事」とアドバイスを受けた。力みないスイングで、チーム唯一の得点を自らのバットでたたき出した。山田の活躍に、真中監督も「本当に1年間、集中していた」と評価した。

 山田は「最初のころは、とにかく出塁することを考えていた。3番を打つ以上、自分が絡まないと得点にならない」と強い責任感を持ってシーズンに臨んだ。チームの勝利を考えた働きが、大記録を生んだ。【栗田尚樹】

 ▼山田が最終戦で38号を放ち、自身初の100打点をマーク。あと1試合残している柳田(ソフトバンク)を含め、トリプルスリーを記録したのは10人いるが、そのうち100打点以上は50年の別当(毎日)105打点と岩本(松竹)127打点、山田の3人だけ。山田が65年ぶりの「トリプルスリー+100打点」を達成した。